寄生虫博物館
ずっと前から行ってみたいと思っていた、目黒寄生虫博物館に行ってきた。
目黒駅から、歩いておよそ10分。 見かけは小さなオフィスビル。 入り口が地味なら中も地味。 予想外に狭い。 床面積は、電車の1輌分ぐらいじゃないだろうか。 名前は博物館だが、実際は研究室の資料棚といったところ。
そんな地味な外見にもかかわらず、館内は結構人が入っていた。 マニアがちらほらいるだけの閑散とした様子を思い描いていたのだが、実際は、家族とカップルがほとんど。 女一人で来ているらしいのも。 最初にカップルに気付いたときには、 「こんなところでデートでいいのか?」 なんて思ったが、展示を真剣に見ているのはたいてい女の子の方だし、女一人で来ている人も多いし、こんなところでいいんだろう。 子供を産む性の方が、体の内に興味があるってことなのかな。
展示内容は、なかなかくるものがあった。 「一見内臓だが、実は寄生虫」 ってのがね。 一度見てしまうと、この後見るもの全てが寄生虫に見えてしまいそうな気がする。
実際、ここで見てしまった後、色々な物を寄生虫ではないかと疑ってしまうようになる人は多いらしい。 館内にあった資料には、そうした問い合わせへの回答もあった。 「寄生虫ではありません」 とか 「寄生虫ですが、食べても無害です」 とか。
まあ、いくら無害だからと言っても、やっぱり食べたくは無いんだけどさ。

これは、当館最大の目玉、体長8.8mのサナダムシ。 人の体から、虫下しで出てきたものだそうだ。 ちなみに、左側のとがった方が頭。
隣に掛けてあるのは、同じ長さの紐。 是非解くべし。 これを解いて伸ばしてみると、8.8mが自分の腹に潜み蠢く恐怖がリアルになる。

海豚に寄生するアニサキス。

片足の鳩。
鳩にとって、片足ってのはどのくらいのハンディキャップなんだろう。 飛ぶには支障無いだろうけど、飛んでるより飛んでない時間の方が長いだろうし。 それでも飛べるだけ、人が片足になるよりは楽なのかな。

白粉地蔵。
目も鼻も欠け落ちているというのに、それでも塗りたくられる白粉。 そして口紅。 欲望からの解脱を説く身が、欲望で塗り潰される。 これも一つの捨身成仏か。

大円寺。
ぼんやり眺めているうちに、夏目漱石の夢十夜を思い出した。 第何夜だったか忘れたが、がけで豚に追い詰められるやつ。
夢の中の豚は、ステッキで殴ると 「ブウ」 と鳴いて転がり落ちていた。 この赤頭巾どもは、なんて鳴くのだろう。 「パパ」 とか?
そんなこと考えながら眺めていた俺の横に、20代半ばぐらいの男が来て、熱心に拝み始めた。 いや、拝むというよりは祈るという雰囲気か。 暫く祈っていた男が去った後、入れ替わるように、今度は30前後の女祈り始めた。
あの人たちは、何をそんなに熱心に祈っていたんだろう。 何でもいいか。 祈る人にしか聞こえない言葉もあるんだろう。

大円寺石仏群。 遠目には分かり難いが、全員が半笑い。

クレーンが好きだ。 高ければ高いほどいい。

夕焼け。 何度見ても、見るたびに 「あ、夕焼けだ!」 と思う。