夕焼け
少し涼しくなった夕方に、父を誘って散歩。 ついでに買い物。
ちょうどこのぐらいの時間に川沿いを歩くと、魚が飛び跳ねるのをよく見かける。 魚が好きで魚釣りがもっと好きな父は、こうした様子を見るのも好きらしい。 しかしついさっきも見たってことは覚えて無いので、魚が跳ねているのに気付く毎に同じ反応をする。
「お、跳ねた。 ハヤかの。 ようけおるのぉ。 近頃は獲り手がおらんのじゃろう」
「そうだね」
「あれらはなんで跳ねるんじゃろうか」
「水面近くを飛んでいる虫を食べてるらしいよ」
「ああ、虫を食べよるんか」
この繰り返し。 父が同じことを言うので、俺も同じように返す。 何を考えるでもなく条件反射的に反応しているだけなのだが、それでもこれが数分間隔で繰り返されると結構消耗するんだよな。 まあ、だからどうってこともないんだけどさ。

見上げた空は、夕焼けがちょっといい感じだった。 雲が、宿へ急ぐ旅の女に見える。 平安の昔の旅姿。

こっちは虚無僧。 時は江戸初期。 風に衣をはためかせ。