昨日、駅で電車を待っているときに聞こえてきた、サラリーマンらしき二人の会話。
「僕、もてないんですよ」
「そうなの?」
「はい。 なんかこう、もっともてるようになりたいんですよね」
「もてるようにねぇ…」
「○○さん、もてますよね」
「俺? 俺はもてるんじゃなくてマメなだけだよ」
「でも、よく女性の方から話しかけられてるじゃないですか」
「そりゃ普段からマメに話しかけてるからね」
「それは○○さんだからですよ」
「俺だと何か違うのか?」
「かっこいいからですよ。 僕がマメだったらストーカー扱いです」
「それはお前、考えすぎだろ」
吹き出しそうになるところを危うく抑えたのだった。 しかし、 僕がマメだったらストーカー扱いです ってのはいいな。 これまでの人生、何もしなければ暗いといわれ、頑張れば頑張ったで気持ち悪いと言われてきたのだろう。 「生理的に駄目」 とか。
なんて他人事のように言っているが、いや実際に他人事だが、傍で笑いをこらえている俺も、もてない側にいるんだよなぁ。
「だらしない」 の 「だらし」 って何だろう?
不意にそんな疑問が湧いてきて、ちょっと調べてみた。 その結果。
「だらし」 は 「しだら」 のアナグラム。 かつては 「しだらない」 と言っていたらしい。
「しだら」 は、梵語で秩序を意味する 「修多羅」 から来たという説と、 「自堕落」 からという二つの説があるらしい。
俺としては、否定形が続くことから、秩序の修多羅説を採りたい。 しかしまあ、言葉ってのは本当に変化するものなんだな。 「しだら」 を 「だらし」 と言うことを、当時の年寄はきっと不快に思っていたことだろう。 「だらしないことをするな」 という言葉自体が、かつての基準では 「しだらない」 んだよなぁ。