週末の掃除をしていたときのこと。
「ねえ、渡邊君。 ちょっと前から気になってたんだけど、プチ整形した?」
「プチ整形?」
「そう、こっちの目だけ」
「あ、これね。 子供の頃からなんだけど、俺、熱が出るときは二重になるんだよ」
「そうなの?」
「うん。 それに、整形したんだったら、片方だけってことはないでしょ?」
「そう言やそうだけど、私、絶対プチ整形だと思ってたよ。 あ、じゃあ今熱が出てるの?」
「ちょっと出そうな雰囲気なんだけど、それにしてもよく気付いたね」
「まあね」
「今度は、気付いたら早めに言ってね。 そしたら、俺も健康に注意できるから」
「そんなの、自分の方が見る機会がよっぽど多いんじゃないの?」
「そりゃそうだけど、ほら、灯台下暗しだからね」
「やだ、ちょっと、聞こえてたの?」
「そりゃ、あんな大声でしゃべってればね」
「私、つい最近までずーっと、『もとくらし』を『モトクラシー』って英語だと思ってたのよ」
「まあ確かに、ありそうではあるよね」
「でしょ? で、『灯台』は東京大学のことだと思ってたの」
「東大モトクラシー … 大正デモクラシーみたいな?」
「そうそう、そんな感じ。 モトクラシーって何?」
「いや、それを俺に訊かれても…」
モトクラシーって何?