机の引き出しに、未使用の割り箸が3膳。 だんだん増えている。
「箸って、そんな風に溜まるもんでしたっけ?」
「これ、おにぎり買ったときに入れられてたものなんだよ」
「ああ、成る程、おにぎりは箸使わないですね」
「普通はそうだよね。 何でおにぎりに箸つけるんだろ。 前に弁当に箸を入れ忘れたのを怒ったからかな?」
「ははは、そうかも知れませんね。 店長から名刺貰ったんでしたっけ?」
「そうなんだよ。 それで過敏になってるのかな。 それってなんかブラックリストみたいだよね」
「まあでも、ちょっと煩い嫌な客とは思ってるんじゃないんですかね」
「嫌な客か… お前なんかが二個も食ってんじゃねぇ! 一個よこせ! なんて思ってるんだってアピールとか?」
「それは無いです。 でも、実際そうだったら、店長呼んでいいですよ」
「あ、逆もあるのか。 一緒に食べませんか? というアピール。 恥ずかしくて言えないから行動で」
「それはもっと無いです」
「でも、もし本当にそんなアピールだったら、店長呼ばれると凄い傷付くだろうね」
「それはかなり傷付きますね。 自分だったら、もうバイト辞めるかも。 呼ばれる店長も迷惑ですよね」
「店長、どんな反応するんだろう。 すみません、私は、一緒に食べるのはちょっと… とか?」
「え、そっちですか?」
「殴っていいかな?」
「実際そっちだったら殴っていいです」
それにしても、箸の入れ忘れに文句を付けた翌日、わざわざ店長が出てきて挨拶してきたのには驚いた。 本当にブラックリストに載ってたら嫌だな。