割と頻繁にやる気をなくして、その度に自販機でコーヒーを買う。 だいたい1時間に1回のペース。 眠気覚ましと糖分補給を兼ねてのコーヒーなのだが、糖分は摂り過ぎだよなと、コーヒーが出来上がるまでの待ち時間にちょっと反省したりもする。 つまり、1時間に1回反省しているのだな。 自らの進歩の無さに目を覆いたくなる、そんな自販機前でのこと。
「よくコーヒー飲んでるよね?」
「うん、そうかも。 だいたい1時間に1回のペースで来てるかな」
「私もそれぐらいでお茶飲んでるから、だからよく会うんだね」
「俺もお茶にしようかな。 コーヒー飲み過ぎな気がしてるんだよな」
「なに? ダイエット?」
「まあ、ね」
「確かに、昔に比べて、全体的に太ったよね?」
「自分はどうなの? 健康診断に向けてダイエット中なんだよね?」
「私? 頑張ってますよ?」
「最近は何で?」
「うーんとね、あ、最近は蒟蒻パスタがお薦め」
「蒟蒻パスタ? 蒟蒻で出来たパスタ? って、そのまんまだな。 ははは」
「笑ってるけど、意外にいいんだって、これが。 美味しいし」
「そうなの? それ、ポン酢かなんかで?」
「それじゃパスタって言わないでしょ。 普通にパスタっぽくいろいろ」
「ナポリタンとかカルボナーラとか? なんか想像付かないな」
「本当に美味しいんだって。 それに、たくさん食べても低カロリーだし」
「パスタ風に味付けしたんじゃ、低カロリーじゃないんじゃないの?」
「でも、パスタよりはましでしょ?」
「そうだろうけど、それで安心してたくさん食べたら、意味無いじゃん」
「う…」
「ところで、蒟蒻パスタってのは、糸蒟蒻とは違うの?」
「…」
「糸蒟蒻だよね、ちょっと太い」
「い… 糸蒟蒻って言っちゃ駄目!」
「そうなの?」
「そうなの! 薄々自分でも気付いてたの、はっきり言わないで!」
「あはは、そりゃ悪かったね」
しかし、彼女はいったい何から目をそむけてるんだ。