遠隔操作事件に関して、朝日新聞と共同通信の記者が不正アクセスした件は、不起訴になったそうだ。 この件について、まずは系列のテレ朝ニュースから。
パソコンの遠隔操作事件で、犯行声明メールの送信元のサーバーに不正にアクセスしたとして書類送検された朝日新聞と共同通信の記者5人について、東京地検は23日付で不起訴処分としました。
朝日新聞の記者3人と共同通信の記者2人は去年、パソコンの遠隔操作ウイルス事件の真犯人を名乗る人物から報道機関などに犯行声明メールが送られた際、送信元のサーバーにIDやパスワードを入力し、不正にアクセスしたとして書類送検されました。 記者らは、犯行声明の内容をヒントにパスワードを割り出していたということです。 東京地検は23日付で、この5人について起訴猶予の不起訴処分としました。 「事案の性質、内容に加え、反省状況を総合的に考慮した」としていて、取材目的であることや実害は少ないことなどを踏まえた判断とみられます。 朝日新聞社は「犯行声明メールが本物かを確かめるためで、正当な取材の一環と考えている」、共同通信社は「形の上で法に触れる可能性があるとしても、真相に迫るための取材であることは明らかだ」とコメントしています。
次に毎日新聞の記事。
パソコン遠隔操作ウイルス事件で、真犯人を名乗る人物の犯行声明に使われたメールのサーバーに不正ログインしたとして、警視庁などの合同捜査本部に不正アクセス禁止法違反容疑で書類送検された朝日新聞社の記者3人と共同通信社の記者2人について、東京地検は23日、起訴猶予処分とした。
東京地検は5人が不正アクセスした事実は認定したが、処分理由を「報道目的だったことなど事案の性質・内容に加え、反省の度合いなどを総合的に考慮した」としている。
捜査関係者によると、5人は昨年10~11月、犯行声明の送信元に使われたフリー(無料)メールのサイトに無断でアクセスしたとして、今年6月に書類送検された。 5人は犯行声明の内容からパスワードなどを類推し、メールの送受信記録を閲覧したという。
朝日新聞社東京本社の森北喜久馬社会部長は「犯行声明が本物か否かを確かめるために接続した。記者の行為は正当な取材の一環」とコメント。 共同通信社の石亀昌郎社会部長は「法に触れる可能性があったとしても、事件の真相に迫るための取材活動であったことは明らか。捜査当局に理解を得られた結果だと考える」とコメントした。
最後に読売新聞の記事。
共同通信社と朝日新聞社の記者が、パソコン遠隔操作事件の「真犯人」を名乗る人物が弁護士らに送信した犯行声明メールのサーバーに不正接続した問題で、東京地検は23日、不正アクセス禁止法違反容疑で警視庁から書類送検されていた共同通信社の2人と、朝日新聞社の3人を、それぞれ不起訴(起訴猶予)とした。
発表によると、5人は昨年10~11月、この人物が使用していたヤフーメールのサーバーに、他人のIDなどを無断で使用して接続したとされる。 地検幹部は違法行為と認定した上で、「報道目的で悪質性は低く、大きな実害もない。記者は反省しており、起訴する必要はないと判断した」と不起訴の理由を説明した。
石亀昌郎・共同通信社社会部長の話「事件の真相に迫るための取材活動であることを当局に説明し、理解を得られた結果だ」
森北喜久馬・朝日新聞東京本社社会部長の話「記者は犯行声明メールが本物か確かめるため接続した。正当な取材の一環だ」
報道に限ったことじゃないけど、記事って、判り易さを優先しているのかだいたい段落分けが結構細かいんだよね。 なので、テレ朝ニュースは後段が不自然に長い気がする。 記事の内容自体は、毎日・読売と同じで、
という構成。 なので、毎日・読売のように2番目と3番目の段落が分かれるのが自然だと思うのだが、テレ朝はこれらが同じ段落になっている。 ここに、あまり細かく読んでほしくない/読ませたくないという意図を感じ取るのだが、それは穿った見方が過ぎるのかな。
先々月に出された朝日新聞の見解では
という2点を挙げて、不正アクセスではないとしていた。
実際は、第一報で書類送検する方針だと言われていた時にも
パスワードなどは犯行声明の内容をヒントにアクセスした
となっていて、今回の不起訴になったという記事でもやっぱり
犯行声明の内容をヒントにパスワードを割り出していた
で、開示されていなかったことが確定。
流石にこの流れの中では、アカウントが公開されていたと言い張ることは難しいと考えたのか、記事中の両新聞社のコメントは取材目的を強調するのみ。 不正アクセスではないとする2つの理由の1つが嘘だったことについては沈黙。 まあ、都合が悪いことには知らん顔って、今に始まったことじゃないんだけどさ。
そう言えば、朝日は最初は事件そのものに知らん顔してたんだよな。
共同通信社は4月に、社会部の複数の記者が管理画面にアクセスし、メールの送受信記録などを閲覧したとする記事を配信し、その中で
真犯人に近づく目的だったが、取材上、行き過ぎがあった
としていたのだが、朝日新聞社は沈黙。
共同は共同で、最初は
行き過ぎがあった
なんてしおらしいことを言っていたのに、今では
正当な取材の一環
と開き直っている状態。
つまりは行き過ぎではなかったってことなのかね。
前言撤回?
起訴猶予にしてもらうための反省のポーズだったのか?
で、記者の名前も顔も出さないのな。 報道目的なら違法行為も許されるとするなら、やった/やらせたのは私ですと名前と顔を晒すのが責任の取り方がだと思うのだが。 いっそ 「×1」 なんて違法取材の回数を名前に併記するぐらいのことをすれば、これが商売じゃなくて本来の意味での確信犯だと思ってもらえるかも… いや、ないか。 これはこれで、今度は記者個人の商売が加速するだけか。