1999 12 24

月の輝く夜に

いつものように弁当と缶酎ハイを買ってコンビニを出た。 幼稚園ぐらいの小さい女の子が、手をつないだお母さんを見上げて訊いていた。

「サンタさん来る? 家わかる?」

俺にもそんな頃があったんだよなぁ…と、見上げた空に大きな月が出ていた。 この月なら、サンタも道に迷うことはないだろうよ。

ちょっと気になって調べて見た。 総務庁 人口推計月報 によると、平成11年11月1日現在の日本では、0〜4歳の人口が596万人、5〜9歳の人口が601万人だそうだ。 年齢的には、大体この辺りがサンタクロースの守備範囲だろう。 世はまさに少子化だし、子供は一家に一人として、サンタクロースが廻る家は1197万軒か。

熟練した鍵師は、どんな鍵でもほんの数秒で開けるという。 熟練した空き巣狙いは、1分程でめぼしいものを盗み出してこれるのだそうだ。 これらから考えるに、熟練のサンタクロースが1軒にかける時間は、だいたい2分ぐらいか。 とすると、サンタクロース1人が全部配るのにかかる時間は、2394万分、即ち45年とちょっと。 実際にサンタが活動できるのは人目のない夜だけだから、実働時間6時間とすると、配り終わるまでに180年。 死ぬな。

逆に計算すると、イブの夜の6時間で配りきるのに必要な人数は、66500人。 これは休み無しに6時間働いたときの数字で、家から家へ移動する時間も無視している。 サンタクロースの健康なんかも考えると、この倍は必要だろう。 13万人体制。 ちなみに陸上自衛隊が15万人。 凄いんだか凄くないんだか。 しかし、これだけ多いと、ありがたみはないな。 不祥事を起こして懲戒免職になるサンタとか。 少子化が進んで、リストラの嵐におびえるサンタとか。 うーむ。