「もー、そうやってごろごろしてると、また寝ちゃうんだから、ちゃんと起きてよ」
と、引き起こされた。
「ん、ああ、おはよ」
投げ出した俺の脚にまたがって座って、乱れた浴衣が色っぽい。
「起きた?」
「うん。 どんどん起きてる」
「え?」
「浴衣が色っぽい」
「浴衣だから?」
「んー、脱いでも色っぽい」
そしたらいきなり 「ぷっ」 と噴出して、あははと笑いだした。
「ね、夢見てたでしょ?」
「夢? うなされてた?」
「寝言」
「寝言? なんて?」
「覚えてない?」
そう言うとまたすっごく楽しそうに笑う。 だいたい寝言なんて本人がわかるわけないし、そもそも夢を見たかどうかすら覚えていないのだ。 いったい何を言ったんだろう。
「全然覚えてない。 教えてよ」
「あのねぇ」
「うん」
「階段を下りるときにプルプルしない胸はいらんっ! だって」
「はぁ?」
「言い切ってたよ、はっきりきっぱり」
そんなことを言ったのか。 そりゃ笑うよな。 ってゆーか、あまりに馬鹿馬鹿しくて、笑うしかないよ。 自分でもおかしくなってきた。 あははは…
そこで目が覚めた。 笑顔で。 朝、いきなり笑いながら目を覚ます俺。 他人には見せられない姿だな。