1998 10 26

願い

昼飯食いながら。

「デリカメンチって、NFBでよく出てただろ」

「おぉ」

「あのデリカって、ポルトガル語でデラックスなんだって。 デラックスメンチカツ」

「あ、そうなんだ?」

「うそ」

「感じわるぅ」

「いいじゃん。 どうせ食わないだろ?」

「そうそう、かみさんが、マンション買うって言い出してさぁ」

「買うの? 賃貸じゃなくて?」

「支払いは、家賃と変わらないらしいからね」

「そりゃまぁそうだろうけど。 マンションねぇ」

「なんかもう決まってるらしいんだよ」

「子供いくつだっけ?」

「上が2歳で下が4ヶ月」

「何かと大変だよなぁ」

「渡邊も早く結婚しろよ。 あいつだって結婚するってよ」

「あいつが? ふーん。 需要と供給ってのは、どっかでバランスとれるんだな」

「なんだかね」

「結婚ねぇ。 別居で夫婦別姓で独立採算制でってのは駄目かな?」

「それ結婚って言うのか?」

「通い婚」

「それがいいって人は、なかなかいないんじゃないか?」

「そうかな?」

「そうだよ」

「なんかさ、駄目な男に尽くすことに生き甲斐を感じる女の人もいるらしいよ」

「なにそれ?」

「自分が必要とされてるって実感と、悲劇のヒロインなんて自己陶酔と、さ」

「で?」

「そんな人が俺の周りにもいないかなぁってさ」

「何言ってんだか」

「俺なら、そんな人に凄い充足感を感じさせてあげられるんだけど」

「しょーがねぇーなぁ」

「しょーがねぇーなぁ」

「この会社で探すのは無理があるんじゃないか?」

「そうなんだよなぁ」

ということで、誰か俺を養ってくれないだろうか? 連絡を待つ。