1999 11 26

お受験

結局、行方不明だった2歳の女の子は、殺されていた。 殺したのは、やはり小さな子供を持つ、顔見知りの主婦。

ニュースやワイドショーのネタとして消費される、赤の他人の不幸。 俺は、そういったものにほとんど心動かされることがない。 可哀相だとは思うが、むしろ 「可哀相だ」 と文字にしたときの空々しさの方が、俺の受ける感じに近いような気がする。 「心のぶつかり合い」 なんて、初めて聞いたときは大笑いしてしまった。 笑い事じゃないんだけどさ。

「お受験」 から生じた殺人事件だと報じられている。 今、俺が気になっているのは、 当事者にインタビューするときも 「お受験」 という言い方をするのだろうか? ということだ。 「受験」 ではなく、わざわざ 「お受験」 と言う。 この 「お」 が、奥歯で噛んでしまった銀紙のような、嫌な感じがするのだよ。