コンビニ弁当を食って、ちょっと呑んで、いつの間にか眠ってしまったらしい。 夢を見た。
俺は、居酒屋らしきところで呑んでいる。 俺の隣で、小渕総理が呑んでいる。 もういい加減酔っている真っ赤な顔で、馴れ馴れしく俺の肩を叩きやがる。
「実は私、総理大臣なんですよ」
「あぁ知ってますよ」
「名前、知ってます?」
「小渕さんでしょ? オブチィって、人魚に間違えられる動物みたいですよね」
「やぁ、人魚ですか。 そんな風に言われると恥ずかしいですよ。 はっはっは」
「あなたが人魚だとは言ってないでしょうが」
「そうですか? そうですね。 わっはっは」
「ずいぶん上機嫌ですね」
「そりゃもう。 今日はこれから、みんなでノーパンしゃぶしゃぶなんですよ」
「ノーパンしゃぶしゃぶ? この時期にですか?」
「あ、店は普通のしゃぶしゃぶ屋ですよ。 我々が脱ぐんです」
「は?」
「客がね、上はスーツ着てネクタイ締めて、下はふるちんでしゃぶしゃぶなんですよ」
「あの、しゃぶしゃぶって…」
「あ、変なこと考えましたね?」
「いや…」
「はっはっは、若いですねぇ。 しゃぶしゃぶはしゃぶしゃぶですよ」
「はぁ」
「いやぁ、開放的な気分になって、結構楽しいですよ」
「それで、みんなってのは」
「あぁ、小沢君と菅君ですよ。 あと、亀山君も」
「それは…あんまり想像したくないんですけど」
「うんうん、わかります。 年寄りばっかりですからね。 私なんてもう下も白髪で。 はっはっは」
「いや、別にわかってもらわなくてもいいんですけど」
「どうです、これも何かの縁だし。 ご一緒に」
「はっ?」
「私もね、最初は確かに恥ずかしかったですが、慣れるともう病みつきですわ」
「いや、あの、慣れたくないんですけど」
「まぁまぁ、ものは経験ですよ。 ほら、若いんだし」
「あの、『ものは試し』だと思うんですけど」
「おっ、試す気になりましたか!」
「いや、そうじゃなくて」
「まぁ遠慮しないで。 奢りますから」
というあたりで目が覚めた。 嫌な夢だ。 疲れているのだな。
人魚。 思い浮かぶのは、上半身が綺麗な女の人で下半身が魚という姿だろう。 それは正しい。 類人猿があくまで猿で、原人は人の仲間で、赤紫も青紫も紫で、カレーライスが結局はライスであることからもわかるように、常に後側の文字が本質を表す。 生物の本質は、生殖行動(=子孫を残すこと)にある。 そして、ある程度複雑な動物の生殖器官は下半身にある。 下半身が魚ということは、魚としての生殖行動をとるということ。 それはつまり魚なのだ。 それ故に本質を表す 「魚」 が、見かけを表す 「人」 の後について 「人魚」 と表記するのだ。 太刀に似てる魚だから太刀魚と言うようなものなのだ。 上半身が魚で下半身が人間だったら、それは 「魚人」 である。 魚人は、人魚とは全く違って、人の仲間だ。 魚人は、やっぱり貝殻の水着っだったりするのかな。 俺は、魚人の雄はあんまり、いや、かなり見たくない。
また眠る。