1999 01 27

メルヘンチック

コンビニ弁当を食って、ちょっと呑んで、いつの間にか眠ってしまったらしい。 夢を見た。

俺は、居酒屋らしきところで呑んでいる。 俺の隣で、小渕総理が呑んでいる。 もういい加減酔っている真っ赤な顔で、馴れ馴れしく俺の肩を叩きやがる。

「実は私、総理大臣なんですよ」

「あぁ知ってますよ」

「名前、知ってます?」

「小渕さんでしょ? オブチィって、人魚に間違えられる動物みたいですよね」

「やぁ、人魚ですか。 そんな風に言われると恥ずかしいですよ。 はっはっは」

「あなたが人魚だとは言ってないでしょうが」

「そうですか? そうですね。 わっはっは」

「ずいぶん上機嫌ですね」

「そりゃもう。 今日はこれから、みんなでノーパンしゃぶしゃぶなんですよ」

「ノーパンしゃぶしゃぶ? この時期にですか?」

「あ、店は普通のしゃぶしゃぶ屋ですよ。 我々が脱ぐんです」

「は?」

「客がね、上はスーツ着てネクタイ締めて、下はふるちんでしゃぶしゃぶなんですよ」

「あの、しゃぶしゃぶって…」

「あ、変なこと考えましたね?」

「いや…」

「はっはっは、若いですねぇ。 しゃぶしゃぶはしゃぶしゃぶですよ」

「はぁ」

「いやぁ、開放的な気分になって、結構楽しいですよ」

「それで、みんなってのは」

「あぁ、小沢君と菅君ですよ。 あと、亀山君も」

「それは…あんまり想像したくないんですけど」

「うんうん、わかります。 年寄りばっかりですからね。 私なんてもう下も白髪で。 はっはっは」

「いや、別にわかってもらわなくてもいいんですけど」

「どうです、これも何かの縁だし。 ご一緒に」

「はっ?」

「私もね、最初は確かに恥ずかしかったですが、慣れるともう病みつきですわ」

「いや、あの、慣れたくないんですけど」

「まぁまぁ、ものは経験ですよ。 ほら、若いんだし」

「あの、『ものは試し』だと思うんですけど」

「おっ、試す気になりましたか!」

「いや、そうじゃなくて」

「まぁ遠慮しないで。 奢りますから」

というあたりで目が覚めた。 嫌な夢だ。 疲れているのだな。

人魚。 思い浮かぶのは、上半身が綺麗な女の人で下半身が魚という姿だろう。 それは正しい。 類人猿があくまで猿で、原人は人の仲間で、赤紫も青紫も紫で、カレーライスが結局はライスであることからもわかるように、常に後側の文字が本質を表す。 生物の本質は、生殖行動(=子孫を残すこと)にある。 そして、ある程度複雑な動物の生殖器官は下半身にある。 下半身が魚ということは、魚としての生殖行動をとるということ。 それはつまり魚なのだ。 それ故に本質を表す 「魚」 が、見かけを表す 「人」 の後について 「人魚」 と表記するのだ。 太刀に似てる魚だから太刀魚と言うようなものなのだ。 上半身が魚で下半身が人間だったら、それは 「魚人」 である。 魚人は、人魚とは全く違って、人の仲間だ。 魚人は、やっぱり貝殻の水着っだったりするのかな。 俺は、魚人の雄はあんまり、いや、かなり見たくない。

また眠る。