栗本薫が死んだ。 癌だったそうだ。 グイン・サーガは未完で終わるのか。
グイン・サーガ。 遠い昔 から、どんな風に終わるのか気にはしていたのだが、肝心の物語は長過ぎて興味も薄れてきていた。 作者当初想定の100巻ぐらいまでは、新刊が出るとぱらぱらと立ち読みでストーリーだけは追っていたのだが、そこから先は、最終巻かどうかの確認をするのみだった。 そして彼女が死んだ今、僅かに残っていた興味すらも無くなってしまうのだな。
ところで栗本薫。 一時期、俺は彼女を男だと思っていた。 酷いことに、そう思ったのは単行本の裏表紙に載っていた写真を見てのこと。 「女みたいな文体だけど、男だったのか」 なんて。
「栗本薫っておばさんみたいな顔してるよな?」
「はぁ? おばさんみたいじゃなくて、本物のおばさんだよ」
「え? でも、写真見たら、おばさんみたいなおっさんだったよ?」
「だから、おっさんみたいなおばさんなんだって」
ある日、友人とこんな話をして、調べてみて、ようやくおっさんみたいなおばさんだってことを知ったのだった。 しかしまあ、 「おばさんみたいなおっさん」 とか 「おっさんみたいなおばさん」 とか、失礼にも程があるな。 本人は、自信の容姿をどう思っていたんだろうか。
容姿と言えば、彼女の作品に出てくる美女は、たいてい酷い扱いを受けているような気がするな。 ただ美しく産まれたってだけの存在に対して、小説の中で復讐しているってことでもないんだろうが。