2001 03 28

余計なお世話

朝、テレビをつけたら、五体不満足の乙武君がインタビューされていた。 結婚するんだそうだ。

彼の障碍がいったい何によるものか、俺は知らない。 知っているのは、手足が無い外見だけだ。 「五体不満足」 を読めば病名なり原因なりが書いてあるのかもしれないが、今のところ読もうという気にはならないし。 で、テレビを見ていてふと思ったのだが、もし障碍が遺伝するとしたら、彼らは子供を作るのだろうか? あの障碍が、例えば50%の確率で子供に遺伝するとき、彼らは子供を作るだろうか。 確率が100%だったらどうだろうか。 結婚相手の女性は、今なら、 「それでも産む」 と答えるかもしれない。 では、結婚してから3年後だったら? 何かと手のかかる日々の生活に疲れ、愛情や自己犠牲の陶酔が消えないまでも多少冷めてしまった頃に改めて訊いてみたら、彼女は何と答えるだろう。 実際に妊娠したとき、2ヶ月目ぐらいで五体不満足だと判明したら、どうするのだろうか。 中絶するのだろうか。 それにしても、ああいった形で注目を集める人と結婚したら、離婚しにくいんだろうなぁ…って、大きなお世話か。 子供だって、欲しいと思えばできるってもんでもないし。

昼飯食いながら

「五体不満足君が結婚するんだって」

「あ、見たよ。 大学の後輩だってね」

「テレビを見てて思ったんだけどさぁ」

「なに?」

「今、手足の移植ができるようになったとしたら、彼は移植してくれって言うかな?」

「なんだよ、それ」

「前に『障碍ではなくて個性、手足が無いのは特徴ではなくて特長』って言ってたんだよ」

「ああ、まあ、みんなそう言うよな。 『頑張れば何でも出来ます』とか」

「どっちかっていうと、『頑張れば何でも手伝ってもらえます』か」

「ま、言いたくなる気持ちも判るけどね」

「で、移植。 便利になって、特長はなくなっちゃうんだけど、どうする? って訊いたらさ」

「今の位置も障碍あってのものだからなぁ」

「元五体不満足ってのは、やっぱりちょっと弱いだろ?」

「デブのタレントがダイエットして痩せたら仕事が無くなって、また太ったりするようなもんか」

と、他人事だからこその無責任なことを言ってて気が付いたのだが、 「配偶者がいろいろ面倒を見ることになって、やがては疲れ果ててしまう」 という想像は、つまり俺自身の生活レベルなんだな。 彼には、数人のヘルパーを常時雇えるだけの金があるのかもしれない。 って、おい、結局金かよ。

薬害エイズの安部被告に無罪判決。 ま、そんなもんだろう。