父と浅川の土手を散歩していたら、虫取り網と虫かごを持った幼稚園ぐらいの女の子が大泣きしていて、その子のお婆さんらしい人が困っていた。 「ぜーんーぜーんーいーなーいー」 という泣きながらの訴えから察するに、虫を捕まえに来たのに一匹も見つからなかったのだろう。 虫って、慣れるといくらでも見つかるけど、慣れないとなかなか見つけられないんだよな。
脚長蜘蛛(アシナガグモ)
これで隠れているつもりらしい。 あるいは擬態か。
すぐ後ろでさっきの女の子が泣いていたので、ここに蜘蛛がいるよと教えようかと一瞬考えたが、一瞬でやめた。 あの子が捕まえたいのは、この手の生き物じゃないのだ。 「ここにいるよ、ほら」 なんて見せたら、きっともっと泣く。 仮に子供が泣かなかったとしても、今度はお婆さんが泣きそう。
麝香揚羽(ジャコウアゲハ)
この角度からだと分かり難いが、産卵中。 一箇所には一つしか卵を産み付けず、一つ産んだら別の葉に移動してまた産み付けていた。 「自分が子供の頃は、たくさんいた兄弟と食べ物の奪い合いで、いつも腹を空かせていた。 自分の子供にはあんな思いはさせたくない」 なんて考えてそう。
さっきの女の子は、きっとこういうのを捕まえたかったんだろうな。