1998 05 05

欲望の形

ガスバーナーでロックを焼き切って中のものを持ち出すという、なかなか豪快な自販機荒らしが捕まっていた。 で、その自販機ってのが、アダルトビデオ。 アダルトビデオが欲しかった のだそうだ。 レンタルビデオで借りてくりゃいいようなもんだけど、それじゃ駄目なのかね。 アダルトビデオって、最後まで見るとうんざりなんだけど、こいつ(確か26歳)は違うのかな。 夜中にガスバーナーを持ち運ぶエネルギーを他に向けりゃ、かなりのことができそうだけどね。 屈折した欲望ってのは、恐ろしいような可笑しいような。 しかし、有害図書だなんだで何かと煩いところに、アダルトビデオの自販機なんてものがまだあったんだね。

レンタルビデオ屋のアダルトコーナーはたいてい、店の奥の一角に、物色しているところが外から見えないように展開している。 そこで見た、ちょっと毛色の違う人達。

カップル

「彼氏が借りてきたアダルトビデオを参考にして、いろいろ試してみる」 と言う人がいたが、こいつらもそのパターンだったのだろうか。 パッケージを手にとって、あーだこーだと言ってた。 なかなか楽しそうで、いいことですな。

その周りにいた男供が、そっちをちらちら見てた。 視線が露骨に不愉快そうで、困ったもんですな。

女一人

「彼氏が借りてきたアダルトビデオを参考にして、いろいろ試してみる」 と言う人がいたが、それだと彼氏の趣味に偏ってしまう危険性大だ。 って、何が危険なんだか。 ま、より広範囲なテクニックを磨くには、自分でいろいろ借りてきて研究するのがよいということだ。

と思いながら見てたら、レズ物を手に帰っていった。 「借りてくる彼氏」 役だったのかもしれない。

親子

それも、母親と小さい男の子。 子供の手を引いて、 「これはもう見たよねぇ」 などと言いながら物色してた。

子供がアダルトコーナーに入ってくると、親は非常に気まずそうな顔をして、子供を連れて行くのが普通なんだけどね。 禁断の性教育?

つわものおやじ

気がついたときは、このおやじ、3本ほど手にしていたのだが、その手が止まらない。 次々と手にとって、パッケージの裏側を一瞥して、小脇に抱える。 ジャンルも色々。 結局8本ほど手にして、カウンターへ。

「御返却は?」

「明日」

おおっ!

さらに、そのおやじが帰った後の、店員の会話。

「ねえねえ、さっきの人でしょ? こないだ言ってた アダルトの人

「そう。 凄いでしょ」

アダルトの人って… そんな呼び方だけは、されたくないなぁ。

そんなのを観察してる俺も俺だけど。 しかし、レンタルビデオ屋には、随分御無沙汰だ。 家の向かいにあるのに、もう1年ぐらい行ってない。 会員証の期限は、いつまでだっけ? と思って、会員証を見てみたら、H8-9-24 だった。 既にゴミ。