1998 06 17

エビラフライ

新潟県の柏崎には、原子力発電所があって(というか、原子力発電所しかなくて)そこに1ヶ月ほど出張していたことがある。 柏崎の駅近くのビジネスホテルに泊まっていたので、晩飯は、仕事が早く終わったときはレストランや食堂で、遅かったらコンビニで何か買って済ませていた。

当然、ホテル周辺のレストラン・食堂は一通り入ってみるのだが、そうして見つけた 「あたり」 の店の一つに、 「とん子」 というトンカツ屋があった。 家族でやっているらしい2階建ての店。 そこの娘が、落ち着いた雰囲気なのに、笑うと妙に子供っぽくなって、いい感じだった。

この店の一番のおすすめは、 特大エビフライ定食(時価) だ。 初めてその店に行ったとき、メニューの別枠に、それを見つけたのだった。

「特大エビフライ… 時価だそうですよ」

「あ、本当だ。 特大かぁ…」

「いってみます?」

「いってみようか」

そういうことになった。

時価の文字に少々びびりながら、特大エビフライを注文した。 すると、まずナイフとフォークが、俺たちの前に並べられた。

おいおい、エビフライにナイフとフォークかよ。

ずいぶん大げさだなぁと笑っているところに、特大エビフライがやってきた。

はっきり言おう。 ばかでかい! 特大は嘘じゃない。 うっかり謝ってしまいそうになるほどだ。 確かにナイフとフォークが必要なのである。 幅5cm 全長25cm 程のばかでかいエビフライが2つ、皿から少々はみ出して、 「食えるもんなら食ってみろ!」 と言っていた。

食う。 ばかうまい! 時価は伊達じゃない。 量良し。 質良し。 エビフライの王様である。

ま、時価と言っても所詮はエビフライなので、せいぜい2〜3千円ほど。 それに娘がいい感じ。 ということで、その後、とん子に通うことになったのだった。

コンビニで買ったエビ天丼のしょぼいエビを、うっかり絨毯の上に落としてしまった。 情けなく脱衣したエビに、どうしたものか途方に暮れながら、そんな昔のことを思い出していた。 とん子は、まだあるのだろうか。

さて、あのエビが何故あんなに大きいかだが、原因は2つある。

これらの相乗効果で、エビが巨大化したのだな。 浴びちゃったエビって言うとイメージ悪いけど、うまいから何の問題もない。