1998 07 14

封印

帰りの電車の中で、なんとなく吊広告を眺めていた。 「あ・に・ま・げ… あにまげ? なんだそりゃ?」 と、よくよく見たら、アニメージュだった。 Animage ね。 以前、Page1 と書いてある看板を 「ぱげわん」 と読んでいた小学生に、 「これだからガキは嫌いなんだよ。 子供に生れなくて良かったぜ」 などと心の中で毒づいていたのが、俺も同じレベルだったとは…

それで思い出したのだが、

「渡邊さん、結構子供っぽいところがあるよね」

「それって、少年の心を持った大人ってこと?」

「んー、なんか違う。 どっちかってゆーと、ガキ」

だそうで、俺はガキの心を持った大人らしい。

ガキの心はあるのだが、実は、ガキの記憶を一つ喪失している。 幼稚園のときのことだ。 運動会か何かで小学校の校庭にいて、当時の俺にはかなり高い吊り輪にぶら下がっていた。 そこから飛び降りようとして、積み上げてあったタイヤに足を取られて、顔面から落ちた。 そこまでは覚えているのだが、その後の記憶が無い。 そこから先は、親から聞かされた。

全然血が止まる気配が無く、泣き止まないので、病院に連れていった。 鼻の骨(軟骨?)が折れていた。 すぐに手術に入ったのだが、体が小さいのと頭に近いのとで、麻酔が十分にできない。 そんな状態でやる手術ってのが、鼻の穴から棒を突っ込んで、上から木槌でたたいて矯正するという、なんとも乱暴なもの。 木槌で叩く鈍い音と悲鳴の繰り返しに、とても耐えられなくて廊下に出たけど、悲鳴は廊下にまで聞こえてきた。

なんともね。 覚えていないというよりは、リミッターが働いて思い出させないってのが、正解に近いのだろう。 病院や医者に対して、必要以上に身構えてしまうのは、この体験のせいだろうか? まぁなんにしても、その後の俺の人格形成に、あんまりいい影響を与えてないのは確かだな。

そーゆーことなんで、痛くしないでね。