1998 09 22

ポケットビスケッツ

難民キャンプのような所にいた。 目の前に、子供を抱きかかえた、痩せ衰えた母親がいた。 子供は、母親以上に痩せ衰えていて、目を閉じて全く動かなかった。 死んでいるのか生きているのか判らないが、まだ生きているとしても、確実にもうすぐ死ぬと思われた。

母親が、俺の右手を指さした。 俺は右手にビスケットを握っていた。

「この子に、それをください」

そう言った母親にビスケットを差し出そうとしたとき、やはり同じような子供を抱えた母親がきて、 「この子に、それをください」 と言った。

上着のポケットを探ってみたが、何もない。 ビスケットは一つだけだ。

「半分ずつでもいいですか?」

そう訊くと、両方の母親が首を横に振った。

「半分では、死んでしまいます。 一つ食べればきっと助かります」

ビスケットは一つしかない。 さて、どうしたものか? 二人を見比べなら考えていると、先に来た母親が突然、 「こっちが先に来たんだっ!」 と叫んで、後から来た母親の抱えている子供を掴みあげ、地面に叩きつけた。

ぐしゃ

嫌な音がして、子供の首が変な角度に曲がって、そのまま動かなくなった。

子供を投げつけた手が、俺の手からビスケットをひったくって、自分の子供の口元に差し出したが、子供は何の反応も示さなかった。

「時間です。 戻りますよ」

そう呼ばれて、ズボンのポケットに手を突っ込んだら、ビスケットが二つ入っていた。

+

今朝見た夢を少々脚色してみた。 さて、ポケットの中のビスケットをどうすべきか?