1999 02 07

中絶の3

飲んでるうちに眠ってしまったらしい。 目が覚めたら朝の4時だった。 飲みかけの水割りが、グラスに1cmほど残っていた。

いい先生と言えば金八先生。 実際の学校の先生は、ドラマという作り物の、狙い通りの先生像と比較されることを、どう思っていたのだろうか。

中学校の2年のときのことだ。 社会(確か歴史)の時間、何がきっかけだったかは忘れたが、先生がこんなことを言った。

みんな金八先生がいい先生だと言いますけどね。 私はそうは思いませんよ。 とんでもないです。 私があの場にいて、生徒が妊娠したら、中絶させます。 あそこで産んだら、子供も、親も、周りの人も、みんなが苦労するのが目に見えてるじゃないですか。 テレビだから、あんな風によかったよかったで済むんです。 あれがいい先生だとは思いません。 あそこで産ませる先生が、いい先生じゃないです。 私だったら、絶対産ませませんよ。

彼の授業は面白かった。 学級運営にも熱心だったらしい。 彼のことをいい先生だという生徒もいた。 しかしこのいい先生は、何か根本的なところでずれているような気がする。 「産ませる」 とか 「中絶させる」 とか、その辺りがね。

外は、突き刺すような月の光。