1999 06 13

無駄に暑い日

「梅雨入りしたような気がする」 と気象庁の弱気な発表があってから、まだ1日しか雨が降っていない。 今日もいい天気なので、河原を散歩した。

多摩川の水量が随分減っていた。 そのせいで、本流から取り残されて、水たまりのようになってしまったところが幾つかできていた。 その水たまりの中に、魚(たぶん鯉)が5,6匹いた。 このまま晴天が続けば、やがて水が干上がって、取り残された魚は死ぬだろう。 梅雨らしく雨が降るのも、まぁいいかなと思う。

NHKの番組、 「声なき声に耳かたむけて“HNKチャイルドライン”が映した子どもたちの危機」 を見た。 なんだか中途半端な印象だったのだが、それは途中から見たからなのかもしれない。

塾の講師をしていたときのことを思い出した。

授業が始まる前、ちょっと早めに教室に行くと、生徒(中3の女の子)が話しかけてきた。

「先生、席替えしてよ」

「席替えしたばっかりだろ?」

「そうだけど、でも私、あの子の隣は嫌なの」

「何で?」

「あの子、酷いんだよ。 人の男を取ってばっかりいるの」

「人の男を取るって…」

「本当だよ。 それでみんな怒ってるんだから」

「取るって言うけど、男が選んだことでもあるんじゃないの?」

「騙されてるのよ。 見た目は可愛いから。 先生も気を付けた方がいいよ」

「俺も?」

「だって、先生のお気に入りでしょ?」

別にお気に入りと言う訳ではないのだが、そんな風に見えていたのだろうか。 もちろん嫌いというわけでもなくて、いや、そんなことはどうでもいいのだな。 具体的に何人の男を取ったのかと訊いてみると、はっきりしてるのは一つもなく、みんな怒っていると言うその 「みんな」 は、友達の4,5人のようだった。

授業後、男を取ったと言われていた 「あの子」 が、話しかけてきた。

「先生、どうすれば噂って流せるんですか?」

「噂? 何で?」

「私、男たらしって噂になって困ってるんです」

「男たらしか。 そりゃ嫌だよなぁ」

「だから、そんなの消しちゃうような噂が流せたらいいでしょ?」

「んー…噂を流すのは、まぁできなくはないけど…」

「どうするんですか?」

「友達に『誰にも内緒の話』って前置きしてから話せば、広がっていくと思うよ」

「えーっ、私の友達、内緒の話って言ったら黙っててくれる人ばっかりですよ」

騙されててもいいから、こっちの味方になろうと思ったよ。 だからどうするって訳でもなかったんだけど。 しかしまぁ、友達というものを全然信用していない俺の考え方も、ちょっと問題ありなんだろうな。

明日は浜松町。 暑くなるらしい。