1999 10 30

ソーダ飲んで死んだソーダ

布団を干す。 窓際で寝転がって、読みかけの文庫本を開く。 風邪もだいぶ良くなったようで、ごろごろしてるだけでもちゃんと腹が減ってくる。 だから今日も、他の生き物を食い殺して、まずいだなんだと文句を言いながら生きるのだ。 ああ、弱肉強食って素晴らしい。

昼から散歩。 南平駅の横の踏切で、これも散歩中らしい父娘連れとすれ違った。 小学校3年生ぐらいの娘が、お父さんとつないだ手をぶんぶん振りながら歌っていた。

「ソーダ村の村長さんがソーダ飲んで死んだソーダ」

思わず足を止めて振り返ってしまった。 俺が小学校の頃、いつの間にか覚えて歌っていた歌が、まだ生き残っていたのか。 歌詞がちょっと変わっているけど、リズムとメロディーはそのままだ。 俺が子供の頃は、死んだのはソーダ会社のソーダさんだった。

「ソーダ会社のソーダさんがソーダ飲んで死んだソーダ。 お葬式はまだだソーダ」

小学校の、何年の時だったろうか。 5年までだったら山口県で、6年だったら和歌山県。 和歌山だったような気がするな。 それにしてもこの歌、いったい何処から湧いて出たのだろう。 ソーダ会社からすれば、ほんとに縁起でもない歌だよな。

脈絡はあんまりないのだが、つられて思い出したのが、鋼鉄ジーグの歌。

バンバラババン ババンバンババン バンバラババン ババンバン
俺が止めたら バンババン
誰がやるのか バンババン
今に見ていろ埴輪原人 全滅だ!
走れ バンバンババン
走れ バンバンババン
ビッグシューター風より速い
ビルドアップ! バンバンバンバン
ビルドアップ! バンバンバンバン
バラバラババンバン ババンバ バンバンバンバン ババンバン
腕が飛び出す ババンバン
足が飛び出す ババンバン
磁石の力だ 鋼鉄ジーグ

「バンバン」 じゃなくて 「ダンダン」 だったかもしれないが、それはまあどっちでもいい。 凄いのは、歌詞の半分以上が、擬音だか擬態だか判らない 「バンバンバラバラ」 で済まされているってことだ。

僅かしかない言葉がまた凄い。 今に見ていろ埴輪原人、全滅だ! って、初めから全滅させるつもりで、話し合いの余地無し。 たいていの正義のヒーローは独善的で融通が利かないもんだけど、それにしても皆殺しとはね。 埴輪原人にだって、子供やなんかの非戦闘員はいるだろうに。 何がそこまでさせるんだろう。 それでいいのか、鋼鉄ジーグ。

しかし、埴輪原人ってのも、いつも口が開きっぱなしな感じで間抜けだよな。

歩いているうちに、また頭が痛く熱っぽくなってきた。 ちょうど高幡不動駅の近くまで来ていたので、電車で帰ろうと思って駅に行った。 んが、なぜか家とは反対方向の電車に。 それで、聖蹟桜ヶ丘の本屋で、よろよろしながら立ち読みしていた。 なにやってんだ、俺。