1999 11 17

またそれか

昼飯食いながら。

「なんだっけ、あの宗教みたいな…」

「ライフなんとかね。 死体観察日記とか」

「すげーよなぁ。 死んでないって言ってんだろ? あれを信じるのが信じられねぇよ」

「んー、教祖ってさぁ、なんちゅーか、たいてい片輪じゃん」

「目が悪いとか?」

「そう。 その辺で、信者の方に隙ができるんじゃねーか? ボランティアみたいな」

「あー、そうかもなぁ」

「俺も教祖になろうかな」

「欠陥がなきゃ駄目なんだろ?」

「人の心が判りませんってのは駄目かな」

「心の片輪?」

「そう。 心の片輪。 で、とりあえず自己啓発セミナーあたりから」

「人の心が判らん奴が、自己啓発セミナーはないだろう」

「そうか。 しょうがねぇ、地道に稼ぐか」

帰りの電車の中。 女子高生らしい制服の二人が話していた。

「毎日腕立て伏せしたら、本当に胸がちょっと大きくなったよ」

「じゃあ、今はBカップ?」

「うん。 って、そんな声に出して言わないでよ」

「いいじゃん、おっきくなったんだから」

前々から思っていたのだが、 カップと言っていいのは C から だぞ。 起伏の無さでは包帯とたいして変わらない A をカップと言うのは、いくら何でも厚かましいだろう。

ところで、農工大かどっかの研究者が、牛と人の遺伝子を融合しようとしていたらしい。 隣のサラリーマンが読んでいた雑誌に書いてあった。 ちらっと見ただけなので詳しいことは判らないのだが、きっと 「科学の暴走」 なんて感じで弾劾されているのだろう。 ゴシップ記事に挟まれて、倫理だ何だと責められてもなぁ。

この研究者、何が目的で牛と人とを融合しようとしていたのだろうか? 記事なんか読まなくても、俺には判る。 ちょっと考えりゃ誰にでも判る。

巨乳

素晴らしいではないか。 崇高な目的の前では、倫理なんてくたばりぞこないの鈴虫みたいなもんだ。 気にせず踏み潰せ。

外は雨。