2000 01 04

終末をもたらす獣の名を唱えよ

その昔、地球は、褐色の岩と砂の大地に二酸化炭素の風が吹く、美しい星だった。

ある日、宇宙から氷のかけらが落ちてきた。 暖かい海に落ちて、中にあった有機物とともに、解けて広がった。 その有機物の中から、豊富にあった二酸化炭素を取り込んで有毒な酸素を撒き散らし自己再生産するものが現れた。 これを植物と呼ぶ。

この変化を憂いた神は、環境を守るために、植物に対抗するシステムを作り出した。 植物を体内に取り込んで殺すとともに、酸素を取り込んで二酸化炭素に変換し放出する。 これを動物と呼ぶ。

植物による環境破壊は、動物の投入によってそのスピードこそ落ちたものの、依然続いた。 様々に形を変えて陸上へも広がった植物に対し、動物も次々と新種が投入されたが、植物を止めるには至らなかった。 問題は、動物というシステムが植物に依存していることだった。 あるバランス点以上に植物を減らすことができなかったのだ。 そこで神は、新しいシステムを開発した。 強力な繁殖力を持ち、破壊力を自己増幅し、臨界点で自らも破壊滅亡する、汎用駆除システム。 これを人間と呼ぶ。

人間は、砂漠を作り、オゾン層を取り除き、確実に植物を追い詰めている。 最終駆除の可能性を感じさせる核兵器も作り出している。 やれ。 食い尽くせ。 殺し尽くせ。 地球上のあらゆる生物を一掃し、太古の地球を、静寂の楽園を取り戻せ。

なんてことを考えて、酒の肴に焼いたシシャモが、ちょっぴりロマンの香り。 キュウリとワカメの酢の物も。 神よ、忠実なるあなたの僕は、今日も食い尽くし殺し尽くします。

玩具修理者 小林泰三

表題作の短編と、中篇が1つ。 「酔歩する男」 での、時間のアイデアが面白い。 タイムトラベルでこうくるか、と。 展開がちょっとタルイのが気になるところだな。 読んだ後で、松本零士のミライザー・バンを思い出した。

岸和田博士の科学的愛情(1〜12巻) トニーたけざき

12月半ばのある日、何となく1巻を買った。 電車の中で、こらえきれずに声をあげて笑ってしまい、翌日から毎日2巻ずつ残りを買ってしまったのだった。 面白い。 下品だけど。 子供の頃、悪の科学者になりたかったのだが、悪でなくてもこんな科学者にならなりたいな。

ちっ、ワインがなくなっちまった。