2000 01 13

ブラインド・タッチ

心と体のデフレスパイラル。 頭が痛い。 今日は休みますと会社に電話して、テレビをつけたら、インフルエンザの患者で病院がいっぱいの映像だった。 嫌な感じ5割増。

「多い」 は、標準では 「おおい」 となっているが、地方によっては 「おいい」 と言う。 山口県はそうだ。

国語のテストで 「多い」 の読みが問われたとする。 これを 「おいい」 と言う土地であっても、その通り 「おいい」 と答えると、間違いとされるのだな。 国語の先生自身が 「おいい」 と言っていても、間違いだとする。 俺が小学生のとき、実際に 「おいい」 と書いてバツになった子がいた。

地方の文化を大切にするとか、個性を重視するとか、最近の教育はそういう方向になっている。 そのうち、 「おいい」 も正解になるのかな。 少なくとも山口県では。 他にも、 「可愛い」 が、地方によっては 「こまい」 でも 「めんこい」 でも 「むじい」 でも正解に。

ま、ならないだろうな。

ちょうど入社した頃だったと思うが、コンピューター関係の雑誌でこんな記事を見た。

「ブラインド」 は日本語の 「盲」 にあたる言葉である。 このため、 「ブラインド・タッチ」 ではなくて 「タッチ・タイピング」 という言葉に置き換わる方向である。

なるほど、そーゆーもんか。 と、じゃあ俺もなるべく 「タッチ・タイピング」 と言うようにしようと思ったのだった。 で、今に至って、日本では 「ブラインド・タッチ」 が主流だ。 盲打ち。 外国ではどうなのか知らないが、日本の俺の知っている範囲ではそうだ。 自分はどうかというと、 「タッチ・タイピング」 は何となく響きが嫌で使わない。 通じないことも多いし。 「ブラインド・タッチ」 は、この言葉を聞くたびに、自分の中で 「盲打ち」 と訳してしまって、どうも使いにくい。 結局、 「見ずに打てる?」 なんてことになっている。

ずっと気になっているのは、日本において 「ブラインド( blind ではない)」 が、差別語になるかどうかということだ。 「ブラインド・タッチ」 と窓の以外に 「ブラインド」 という言葉を知らず、もちろん 「ブラインド即ち盲」 なんて結びつかない人たちで構成される社会で、 「ブラインド」 のポジションはどんなもんだろうか、と。 まあ英語は外来語でもちょっと事情がちがうから、これがもっとマイナーな、例えばラテン語だったらどうだろうとか。

そうそう、以前テレビで視覚障害者が点字キーボードを打っているのを見て、 「文字通りのブラインド・タッチだな」 と思ってしまったのだった。 駄目じゃん、俺。