2000 03 06

ドラゴン

電話がかかってきた。

「はい」

「もしもし、私、ドラゴンマンションのご案内でお電話したものですが、お父様かお母様はご在宅でしょうか?」

「は?」

「あの、お父様かお母様は」

「いや、そうじゃなくて、何マンションです?」

「え? ドラゴンマンションですが」

「ドラゴン?」

「あの、ご主人様ですか?」

「くっくっくっ…ド…ドラゴンマンションですか?」

「はい、そうですが、あの、何か?」

「だって、ドラゴンって、ねえ、うくくく」

「ドラゴンマンションだと、何かまずいんですか?」

「いや、まずくは無いけど、ドラゴンて、う、うははは」

「じゃあ何だったらいいんですか」

「ははは、あ、いや、別に何でもいいけど、ドラゴンは無いでしょう、ドラゴンは」

「そんなに可笑しいですか、ドラゴンって」

「いや、でも、ドラゴンでしょ?」

「ドラゴンマンションですけど」

「うははは」

「だから、何だったらいいんですか」

「いや、でもドラゴンって、くくく、あ、で、ドラゴンが何ですか?」

「あ、いまマンションをお勧めしているんですが、ご興味はございませんでしょうか?」

「ありません」

すまん。 ちょっとツボにはまってしまった。