2000 04 18

アンバランス

眠れないとき、布団に入って本を読む。 横向きになって読むので、下の、つまり枕の側の目を閉じている。 しばらくそうして読んでいるうちに眠くなってきて、明かりを消す。

実は、明かりを消した後の数分が、ちょっと楽しい。

明かりを消した後で、両目を開く。 閉じていたほうの目は暗さに順応しているが、開いていた方の目は暗さに順応できてない。 このため、開いていた方の視界に薄暗いもやが掛かったようになる。 このアンバランスが、なかなか新鮮なのだ。 さらに、もやが掛かった方に顔を引っ張られるような、そっちの目玉を柔らかく抑えられているような、妙な感覚。 その状態で立って歩くと、顔が勝手に斜めになったりする。 見えない方の目を補うために、見えるほうの目をそちらに向けようと、無意識レベルで体が動くからだろう。

こんなのが新鮮で楽しいなんて言ってられるのは、 「ほんの一時だけで、すぐに元に戻る」 と思っているからだ。 そのまま見えなくなってしまうことは無いと。 もっと極端に言えば、この先も毎日普通に同じような生活が続くことを、何の根拠も無いのに信じているから。 平和でいいね。