2000 10 28

手段を選ばない

徹夜したのは、何年振りだろう。

中川官房長が辞任。 おっさんの鞄に挿してあった朝日新聞には、 「更迭」 と書いてあった。 辞めたのか、辞めさせられたのか、その差は大きいと思うのだが、正確にはどっちなんだろう。 どっちでもいいか。 それより何よりテープだ。 あれは、誰が、どうやって、とったんだ? あんな会話、自分で録音するはずがない。 どう考えたって 盗聴 だろ? 盗聴法案の審議のとき、プライバシーが危ないってあんなに反対していた野党もマスコミも、何でそれを問題にしないんだ? やってる方は正義のつもりかもしれないが、手段を選ばない正義ってのは、テロと変わらんぞ。

パラリンピックは、明日が閉会式。 俺の知る限り、時間を取って放送していたのは NHK だけで、それ以外はスポーツコーナーで結果をちょっと流すぐらいだった。 それは、単純に、過去のパラリンピック放送の視聴率がよくなかったからなのだろう。 俺自身、オリンピックもあんまり興味が湧かなかったが、パラリンピックはそれ以上(未満?)に無関心だ。

思うに、それは、パラリンピックの選手に対する距離感なのだな。 断絶を感じるのだ。 もちろんオリンピックの選手もはるか遠くにいるのだが、遠くても同じコースの延長線上にいるのがオリンピック選手で、違うコースにいるのがパラリンピック選手、とでも言うか。 量と質の違いといってもいい。 どっちも遠い存在なのだが、それでもまだ同じ人間だと感じるのがオリンピック選手。 パラリンピック選手は、違う人間。

まあ何にしても、世間一般の関心が高い方が、障害者全体にとってもいいんじゃないかと思う。 で、どうすればいいかと考えてみたのだが、コンストラクターズメダルなんてどうだろう。 選手に対するメダルのほかに、義手や義足(補装具と総称するらしい)のメーカーに対しても表彰するのだ。 F-1 のドライバーとメーカーのように。 ドライバーが外人でも、エンジンがホンダだとやっぱり気になるしね。 で、シドニーに向けて、脳波制御の超軽量義足の開発に取り組むメーカーの姿を、プロジェクトX風に放送したり。

「俺達が必死で作り上げたものです。 これで頑張ってください。 応援してます」 と、手渡された義足には、びっしり書き込まれた開発者の応援メッセージ。 「俺は独りで走ってるんじゃないんだ」 と、勝利を誓う下肢切断クラスの選手。

この際だからドーピングも解禁。 「俺達が必死で開発した薬です。 これで頑張ってください。 応援してます」 と、手渡された注射器には、びっしり書き込まれた応援メッセージと使用上の注意。 滲む涙は、嬉しさか、それとも恐怖か。

注射を打つとたちまち血管が浮き上がり、目は血走り、手負いの獣のごときハイテンション。 そしてスタートライン。 高まる鼓動。 脳に埋め込まれたセンサーが興奮を感知し、自動的に義足のターボブーストを起動。 ヒュイィィィィ…と、脛の部分に埋め込まれた6つの小型ファンが甲高い音を立て、噴き出す熱気が辺りの景色を揺らめかせる。 シグナルが赤から青に…

何の話だ?