2001 04 24

小さなことでくよくよしない

昨日は川崎に出張だった。 川崎のバス停でのこと。

程よく行列が出来ているところにバスが来た。 川崎のバスは料金先払いなので、乗るときに少々時間がかかる。 なのに、バスに乗ってからもたもた小銭を探し始めて、苛々させてくれる人がいる。 料金は均一200円なんだから、行列に並んでいる間に小銭を用意しておけばよさそうなものだが。 で、そんなのが何人か続いて、俺の3人前、サラリーマン風の男がステップに足をかけたところで、横からきた婆さんがその男に話し掛けた。 はっきり聞こえなかったが、どこかのバス停に停まるかどうかを訊いているらしい。 「ああ、停まりますよ。 どうぞ」 と、男はその婆さんを先に乗せた。

婆さんを先に乗せたことは、男にとってはちょっとした善意なんだろう。 しかし男の後ろに並んでいる俺は、苛々していたせいもあるが、あまりいい気はしなかった。 「おいおい、勝手なことをするなよ」 と。 ここで、10人以上並んでいる人たちがみんな俺と同じだとしよう。 すると、男のちょっとした善意でいい気持ちになったのがその男と婆さんの2人なのに対し、ちょっと嫌な気持ちになったのは10人以上。 この数字はどうだ? と言っても、仮定が非現実的で何の説得力も無いか。 そのぐらい譲ってやれよって気もするし。 でも、自分の善意で譲るのはいいんだけど、他人の善意で譲らされるのは、ちょっと複雑な気持ちだな。

で、ふと振り返ると、俺の後ろ5人目ぐらいに、さっきの婆さんと同じぐらいの年恰好の婆さんが並んでいた。 この婆さん、横からやってきた自分と同じぐらいの婆さんが婆さんだという理由だけで先に乗せてもらうのを、正直に列に並んで見ているのわけだから、ちょっと嫌な気持ちになったに違いない。 それは、 「あの婆あ、巧いことやりやがって」 と、主に譲られた婆さんに向いている点で俺とはちょっと違うのだが、とにかくちょっと嫌な気持ち。

その婆さんが乗ったときに座席がちょうど埋まってしまっていると、ちょっと面白いんだけどな。 後から乗った婆さんが、先に乗って座っている婆さんの横に立って、聞こえるように溜息をついたりして、譲った男も譲られた婆さんもちょっと嫌な気持ちになって…

なんて想像してたんだけど、結局みんな座れたのだった。