2001 09 12

テロの2

台風にワクワクしてた人でも、テロの映像には悲しくなったりするのだな。 なんかちょっと引っかかるのだが、まぁだいたいそんなもんなんだろう。 なんて言ってる俺は、あの映像を見ても 「おー、すげー」 ぐらいにしか心が動かないんだけど。

今、200人が乗った旅客機がハイジャックされたとする。 ハイジャック犯の目的は、世界貿易センタービルへの体当たり。 万一失敗した場合は、その辺りにある他のビルに突っ込む。 乗客は人質。 これだけたくさんいれば、途中で撃墜したりはしないだろうと読んでのことだ。 その人質の中に、あなたの一番大切な人がいる。 家族でも恋人でもいい。 とにかく、今一番大切だと思う人だ。 その人を乗せた飛行機が、ハイジャックされて、激突を目的にどんどんビルに近付いている。

あなたは管制センターにいて、飛行機がハイジャックされたことを知る。 ハイジャック犯の目的も。 犯人の目的を知って、ターゲットのビルとその周辺に避難勧告をするが、激突までの残り時間が僅かで、半分も避難が済みそうにない。

実は、管制センターには、飛行機を確実に撃墜できるミサイルの発射スイッチがある。 ただし、ミサイルは1発しかない。 1発しかないが、撃てば確実に撃墜できる。 激突前に撃墜すれば、乗客はほぼ確実に全員死ぬが、被害はその200人に抑えることができる。 これがたぶん最小限。 激突前にビルの方をミサイルで吹っ飛ばしてしまうことも考えたが、住民の避難が間に合わないし、避難が間に合ったとしても、その辺りに林立する他のビルを第2,第3のターゲットとしている状態では、1発しかないミサイルで第1のターゲットのみを破壊するのは意味がない。 あなたにできるのは、ミサイルで飛行機を撃墜するか、何もしないで激突するのを見ているか、このどちらかだけだ。

さあ、もう時間がない。 あなたはミサイルを発射するか?

「ハイジャックされた飛行機は全部で4機、そのうち1機は目的を達せずに墜落したらしい」 というニュースを見ながら、そんなことを考えていた。

広島と長崎の市長、 「世界唯一の被爆国として、あなた方の受けた痛みと悲しみはよく判る」 なんて言わないかな。