2003 04 07

確信犯

今日から ADSL である。 期待したよりも速くは無かったが、がっかりするほど遅くも無い。 体感速度は、これまでの5〜10倍ぐらいか。 何回かリトライしないと接続できないドメインがあるのがちょっと気になるが、速くなったから良しとしよう。 モデムをレンタルして、ルーターを自前で用意するのだが、この際なので無線LAN にしてみた。 これは正解。 ケーブルが1本減るだけで、部屋の中が随分すっきりして見える。 さて、速くなったら何をしようか。

昨日の朝、テレビをつけたら鉄腕アトムをやっていた。 再放送ではなくてリメイク。 ちょうど第1話だったようで、今回の話はアトムの目覚めだった。

御茶ノ水博士は、都市機能に向けるはずのエネルギーを強引に自分の実験に使い、街を停電させてまでアトムを目覚めさせた。 しかし、そうまでして目覚めさせたアトムは、子供のように無邪気で、無軌道で、とりあえず役立たず。 事前にいろいろ聞かされて期待していたのだろう他の科学者たちは露骨に落胆したり呆れたりするのだが、そんなマイナスを御茶ノ水博士はものともしない。 「これから学習し、成長し、人間と友達になれる画期的なロボット」 などと言って、アトムを孫のように可愛がる。 しかし肝心のアトムは、目を離した隙に外に出て、好奇心のままに飛んでいってしまう。

ちょうどそのころ、エネルギー供給用のロボットが暴走を始めていた。 太いパイプを脚のように動かし、街を破壊しながら進む姿は、巨大な鋼鉄の蜘蛛。 軍(警察?)は直ちに出動、ロボットを攻撃しようとするが、溜め込んだエネルギーが一気に爆発するかもしれないと、駆けつけた御茶ノ水博士に止められる。 その御茶ノ水博士を、ロボットが襲う。

御茶ノ水博士が今まさに殺られようというとき、都合よくアトムが現れた。 暴走するロボットを持ち上げると、空高く飛び上がる。 このとき、アトムはロボットの声を聞く。 「苦しい…誰か助けて…」 ロボットは、アトムを目覚めさせたときに流されたあまりにも大きなエネルギーに、苦しみ悶えていたのだった。

ロボットの声を聞いて、過剰なエネルギーを自らの体で吸収してやるアトム。 暴走が収まったロボットをエネルギー供給プラントに戻すと、日が落ちて暗くなった空へと飛び立つ。 体からあふれるエネルギーが、光の粒となってキラキラ零れる。 その光を追いかけながら、早くも優しさに目覚めたアトムを喜ぶ、御茶ノ水博士。

これ、御茶ノ水博士に注目すると、ちょっとしたホラーだな。

彼は、自分の研究のために街を停電させ、しかもそれが世の中のためになると信じきっている。 その行為が規則違反であることを指摘されるても、 「ちょっとぐらいなら大丈夫」 と言って強行。

「ちょっと」 ってのは、その人が行使できる力に比例して大きくなる。 力を振るうものは、常にそのことを考えておかなければならないのだが、彼はそんな心配はしない。 自らの崇高な目的の前には、全都市を停電させることも躊躇わない。 そのくせ、自分にとっては 「ちょっと」 なことを、他の人もやるとは全く想像していない、ある種のエリート意識。

そんな自分の行為のせいで、ロボットの暴走、街の破壊を招いたのに、アトムの行動に感心するばかりの無神経。

そんな御茶ノ水博士が、まだほとんど白紙のアトムを教育していくのだ。