2003 06 07

世界がもし100人の村だったら

向かいのアパートに、先週からずっと洗濯物を干しっ放しにしている部屋がある。 このアパートの住人は、ほとんどが学生だと思うが、基本的に雨に負けない。 少々降ろうが、洗濯物も布団も放置。

だからその部屋に対してもあまり気にしてなかったのだが、台風を挟んで一週間以上も干しっ放し、しかも干しているものにシーツが2枚含まれているとあっては、さすがにちょっと考えてしまう。 洗濯物を干したまま、旅行にでも出たのだろうか。 いや、旅行じゃなくて夜逃げかも。 とすれば、洗濯物は、逃げたことを悟られないための日常生活中アピールか。 そう言えば、部屋の電気が点いていたような気もするな。 いやいや、実は部屋の中で死んでいるのかもしれない。 誰にも気付かれること無く死んで、死んで尚誰にも気付かれず、既にあちこち腐り始めているのかもしれない。

両親を殺され6歳で銃を手にした少年兵。 虐待。 親に捨てられた子供達。 世界にはこんな子供達が生きています。

朝、見るともなしに点けっ放してたテレビで、何度もやっていた番組宣伝。 大して注意して見ているわけでもなし、最初は何とも思わなかったのだが、あまりに執拗に繰り返されて、だんだん苛々してきた。 ナレーションを補強する可哀想な子供達の映像…あ、逆か。 可哀想な子供達の映像と、その可哀想さを説明するナレーション。

叔母はこの手にものに弱い。 見ればたちまち涙ぐんでしまう。 彼女だったら、この執拗な繰り返しにどう反応するんだろう。 やっぱり見る度に可哀想だと感じて、番組を見ようと思うんだろうか。 その場では本気で同情して涙ぐんでも、実際に見るのは、裏番組のサスペンスドラマなんだろうか。 たぶんこっちだな。

ま、そんなことはどうでもよくて、気になるのは人数だ。 世界がもし100人の村だったら、そんな可哀想な子供達はいったい何人いるのか。 それを言わなきゃ、わざわざ100人にしてみた意味が無いだろう。 紛争地帯は、今もまだたくさんある。 そんな中、 「両親を殺され6歳で銃を手にした少年兵」 は、世界がもし100人の村だったら、何人になるのか。 これだけ条件を限定すると、一人もいなかったりしてね。

いや、それを敢えて言わないのが番組宣伝か。 ここで言っちゃったら、わざわざ宣伝している番組を見ないもんなぁ。 CMで苛々させられたのに番組を見るなんて、ちょっと負けた気分だけど、やっぱり見てみよう。 「世界がもし100人の村だったら、両親を殺され6歳で銃を手にした少年兵は、一人もいません。 正確には0.13人です」 なんて結果だったら面白いし。 そう思って番組欄を見たら、もう終わっていた。 現在11時28分。 ちょっとどころじゃない、かなり負けた気分だよ。 くそ。