2003 11 20

プチ・チャレンジ

その昔、塾の講師をしていた。 やってみようと思ったのは、もちろん時給がいいからだけど、もう一つ、自分には向いていないだろうと認識していたってこともある。 「向いてはいないが、できないこともないだろう。 どの程度までできるのか」 というところに興味があった。 やってみて、やっぱり向いてないと判り、それでも時給に惹かれてやり続けたんだけど。

最近、プロジェクト管理をしている。 他の課の人が手が回らなくなっていたのを、途中から引き継いだもの。 話が来たとき、 「そんなのは俺には向いてないが、できないこともないだろう。 どの程度までできるのか」 と思って、引き受けてみたのだ。 が、向いているとかいないとかの前にもう全然面白くない。 プログラムは、やっぱり作ってる方が面白いのだな。

引き継いだ仕事の前任者だが、見たところ、コミュニケーションが苦手なタイプらしい。 何か問題があったとき、電話の一本で解決しそうなことを、そうはせずに自分で調べる。 「あの人に電話して訊いてみれば? すぐに解決するんじゃないの?」 と言っても、 「はい…たぶん…」 と、しばらく沈黙した後、理由にもならない理由を持ち出して、とにかく訊くのを避けようとする。 それでなくても忙しいんだし、ちょっと訊くことで楽に解決できるなら、わざわざ苦労して自分で調べることもないと思うのだが、彼にとっては、人に訊くよりも時間と手間を掛けてでも自分で調べる方が、はるかに楽なことなんだろう。 もともとそんな性格だったのか、いろいろ文句を言われた結果のストレスや自信喪失でそうなったのか、これまで彼とは何の接点もなかったので知らない。 知らないのだが、彼も俺と同じく 「こんなの俺には向いてない。 プログラムは、やっぱり作っている方が面白い」 と思ってることは伝わってきて、妙な親近感を感じたりもする。 鈍い反応に苛々しながらも、 「まあしょうがないかな」 と、ちょっと待ってやろうって気持ちになったりもする。 ほんのちょっとだけど。

今日も雨。 電車に乗ると眼鏡が曇る。