2003 12 16

サダム・フセイン

フセインが捕まった。 小さな穴に潜んでいたのだそうだ。 公開されたフセインの映像は、たぶん健康診断だろう。 大きく開けた口の中をペンライトで照らされていた。 ぼうぼうに伸びた髭が、落ちぶれた感を強調しているように見えた。

米側の発表によると、

フセインが隠れているとの情報を得て、その場所に踏み込み、小さな穴の蓋を開けて見つけた。 特に抵抗は無く、攻撃もしていない。

とのこと。 これ、何処まで本当なんだろうか。 と言うのも、これまでの米軍のやり方は、怪しいと思ったらとにかく攻撃だったから。 民間人が犠牲になるとか、間違いかもしれないとか、そんなことはお構い無し。 いったん怪しいと思ったら、なんかもう動く者がいなくなるまで攻撃するって感じで。 そんな米軍が、誰が潜んでいるかも判らない穴の蓋を、事前に壊滅的な打撃を与えることなく開けるなんて、ちょっと信じられないのだよ。 本当はもっと前に捕まえていたのを、この辺りがいいタイミングと判断して、演出したんじゃないかってね。

ま、俺が持つ米軍のイメージってのも、報道から作られたもので、あんまり当てにならないんだけどね。 この時期、米軍の攻撃が取り上げられるのは、ニュースとしての価値があると判断されたときだけだろう。 そして、日本のテレビ局がニュースとして流したいのは、占領軍側に犠牲者が出たときと、占領軍(特に米軍)の誤射で民間人の犠牲者が出たことだろう。 それが衝突全体のどれだけを占めているのか、そもそも銃撃の無い要人幹部拘束がどれだけあるのか、まったく見えてこない。 実際はどうなんだろうな。

この後、裁判ってことになるだろう。 その裁判をアメリカ(ついでにイギリス)だけでやるか、戦争に反対してた国も交えて国連としてやるかで、フセインの扱いは全然変わるだろう。 しかしどっちにしても、大量破壊兵器なんてものは、この先もきっと見つからないんだろうと思う。 アメリカにすれば、そんなものあったらラッキー程度で、初めから見つける気なんて無いんだろうとも思う。

見つからないと言えば、イラク大使。 先日、イラクで大使館員の2人が殺された。 何で殺されたのかは未だはっきりしないが、とにかくイラクで銃撃されて死んだ。 で、川口外相が涙ぐんで会見したり、外務省職員が空港まで遺体を出迎えたりしているところは見たのだが、イラク大使が前面に出てきたところは、俺の記憶している限り一度も無い。 大使はどうしたんだろう。 多分、ずっと日本にいるんだよな。 一度ぐらい、大使のコメントがニュースに流れてもよさそうなもんだけど。 部下を危険なところに向かわせて、自分は安全なところにいて…などと世間から非難されるとでも思って、出てこないのだろうか。 それとも、大使よりも外相や首相の責任を問いたいメディアが、勝手に大使を飛び越しているんだろうか。

大使館職員が死んだときの会見では、川口外相は涙ぐんでいた。 それが感情の発露なのか、単に徹夜で充血していたせいなのか、俺は知らない。 だけど、もしもあれが悲しみから来るものだとしたらと想像して、俺の注目は北朝鮮による拉致関連の会見での川口外相なのだ。 これまで、全く他人事のように(って文字通り他人事ではあるが)冷たい感じの、官僚的という言葉がぴったりだった彼女の態度が、この先変わるのだろうか。

相変わらず忙しい。