2003 12 24

クリスマス・イブ

クリスマスイブ。 俺には何の関係も無いが、せっかく初めての街に来たことだし、ちょっと辺りを歩いてみた。

まずは地下街へ。 これと言って見るべきものは無し。 地下鉄の駅から始まってかなり伸びているし、店もそれなりに並んでいるのだが、何となく小ぢんまりした感じ。 商店街としてよりも通路としての機能がメインなのかもしれない。

地下街から出て見上げると、空に伸びる緑色のレーザー。 振り返ると、テレビ塔まで続くクリスマス向けの電飾。 街路樹までが無駄にキラキラしている。 とりあえず、電飾を辿ってテレビ塔の下まで行ってみたが、すれ違うのが若いのから年寄りまで尽くカップルで、ちょっと負けた気分だった。 それからデパートが立ち並ぶ方を回って、文房具屋で0.3mmのシャーペンと3色のボールペンを買った。 入ったのと反対の方向から出ると、イラク派兵反対のアンケートをやっていた。 イラク派兵に対するアンケートじゃなくて、派兵反対のアンケート。 ハート型に切ったピンクの紙を、賛成・反対どっちかに貼り付けるようになっているのだが、貼り付けるエリアは露骨に反対の方が大きくなっているのだ。 その横で、派兵反対の演説をしながら。 これもまあ、アンケートではあるか。 貼られたシールは、彼ら彼女らの予定通り、圧倒的に反対の方が多かった。 反対の方が多いことは訊くまでも無いだろうにな。

外で食べようと思ったが、昼の定食屋が夜は尽く居酒屋になっている。 裏通りにまわると、フィリピンを冠する風俗店ばかり。 客引きらしい男が店の前に立っているが、客引きするでもなく雑談しているのは、やる気が無いからか、まだ早い時間だからか。 いずれにしても食事をする雰囲気じゃ無いので、また表通りへ出て、結局コンビニで弁当を買ってホテルで食べた。 そうそう、ホテルの隣のモスバーガーでは、トナカイの着包み(全身タイツ風)の女の人が呼び込みをしていた。 サンタの格好をした女の子がケーキを売ってるのは珍しくないが、トナカイとはね。 しかもサンタがいなくて、トナカイ一匹。 ベージュの着包みが、それも全身タイツ風なのが、寒空の下になんとも貧乏臭い。 見てるだけで辛い気持ちになってくるが、やってる本人はもっと辛いんだろう。

テレビをつけて、コンビニ弁当を食べながらニュースを見てたら、さっき行ったテレビ塔が出てきた。 なんでもあの上から、100万円相当のドル紙幣をばら撒いた奴がいたんだそうだ。 クリスマスプレゼントってことらしい。 更には、派兵反対アンケートも。 あのアンケートをしていた連中は、昼間デモ行進なんかしていたらしい。 元気だなぁ。

ついでだからイラクへの派兵について。 俺は、道義的には反対だが、行くなら行くでいい経験になると思う。 経験を積むチャンスだと思う。 今の自衛隊は、装備はあっても経験が無いからね。 殺されるかもしれない緊張感を、そして人を殺すことを、つまり軍隊として当たり前いの経験をするいい機会じゃないかと。 いざという時、俺は自衛隊に守ってもらわなきゃいけないのでね。 喩えるなら、俺以外の誰かを患者として腕を磨いた、腕のいい医者にかかりたいって気持ち。 或いは、俺以外の誰かで試して、効果と副作用がはっきりしている薬を使いたい気持ち。 ま、これはこれで酷い話ではあるんだけど、背に腹は換えられない。 と、勝手に背と腹を決めてしまうのだ。

ところで、国会中継に出てくる野党議員やニュースのコメント屋さんが、 「イラクは本当に安全なのか」 とか 「対米追従ではないのか」 などと小泉君に詰め寄る様は、彼氏彼女の浮気を問い詰める彼女彼氏に似ているな。 「浮気してない?」 と質問した時点で、自分の中ではもう 「してる」 と答えは決まっている。 そして、どんなに問い詰めたところで、決して 「してる」 とは言わないことも判っている。 正直な答えを聞いたところで、どうなるものでもないことも判っているのだ。 ま、それが仕事なんだろうけど、なんだかなぁ…

明日で出張は終り。 さっさと片付けて帰りたい。