2004 09 04

水海月または水水母

昨日は、水クラゲ大発生中という新宿御苑に行ってきた。 「大発生」 と言っても、そこはそもそも存在が希薄なクラゲ。 ぱっと見には、いるのかどうかも判らない。 親子連れの 「あ、いた!」 という声を頼りに水面を透かし見て、ようやく一匹見つけたのだった。

最初はなかなか見つけられないが、一度見つけると、後は次々に見つけることができる。 さっきまでは見逃していたような波に紛れたものでも、見つけられるようになる。 更には、この辺りにいそうだという予想までできるようになる。 一度見つけることによって対象の認識が明確になり、さらに経験を積むことによって、個別の状況からパターンとしての認識にまで進化していく訳だな。 ここに至って、俺の目はもはやハンター。 水クラゲハンター。

そうそう、この日は銀座で待ち合わせをしたのだが、昼を食べた店がよかったな。 なんて名前だったろう。 三越から松坂屋の方に向かう通りにあった、バイキング形式(?)の和食の店。 店に着いたのが開店の少し前で、まだ閉まっている店にはエレベーターが止まらないことを知らずに乗り込んで、そんな訳だからいったん昇ってすぐに降りて、しばらく外で待つことになった。 そのときにエレベーターに乗り合わせた人が、昔好きだった人にちょっと似た雰囲気だったんだよなぁ。 連れのお嬢さんには、 「あんまり綺麗な人じゃないじゃん」 と軽く否定されてしまったんだけど。

俺は、都心の交通の便利さに慣れてしまって、どこに行くにもあまり細かい計画を立てたりしない。 しかしそれは一人で気ままに行くから構わないのであって、相手がいるときは、そのアバウトさがそのまま相手の迷惑になったりするので、気をつけなければいけない。 今回がまさにそうだった。 その上、突然の豪雨で電車が遅れて、帰りは散々だった。 反省しています。

御辞儀草。 所詮は植物だからと大して期待せずに触ったのだが、実際に触ってみると予想外の高速変化。 思わず
「おぉ!すげぇ!」
と声を上げてしまったのだった。

御辞儀草は、葉に何かが触れたという情報を、動物の神経組織とよく似た電気信号で伝達するのだそうだ。 そのせいか、神経を麻痺させるガスをかがせると、触っても葉を閉じなくなるらしい。 凄いな。

太い茎

花ってのは、花弁の作りはもちろんだが、細い茎も、儚さを演出していてるのだろう。 頭の中にある「花」がそんな姿なものだから、こういった太い茎からガッと咲いている花がとても奇妙なものに見える。 まったく違う生物が擬態しているような。 人目のないところではうねうね動いているのが、視線を感じた瞬間にピタッと動きを止めたような。 だるまさんがころんだ?

このイメージをどこかで見た気がするんだけどなぁ… と、しばらく記憶をたどっていて見つけたのが、女子プロレスラーのデビル雅美。 リングに開く悪の華。 もうとっくに散って萎れてると思うけど。

つぶつぶ

少しでも多く実をつけたいと願った進化の末に、辿り着いたのがこの形。 微妙に気持ち悪いのだが、むしろその気持ち悪さに惹かれてしまうのだ。

ぶつぶつ

漫画なんかで、恐怖や不気味さの演出として 「無数の目が開く」 ってのを見かけるのだが、これがまさにそれ。 かなり不気味。 しかし、その不気味さに惹かれて、薄ら寒い思いをしながらも目を離せないのだ。

ぞりぞり

遠目には綺麗な花だが、その花弁に包まれた花芯は雄蕊か雌蕊かの区別もつかないぞりぞりしたもの。 この形にどんな意味があるんだろうか。

ごつごつ

鬼に金棒の「金棒」には、確かこんな感じに小さな棘がついていたんだった。 しかし色が緑だと、健康器具のように見えなくもない。 これのもっと大きいやつを、足の裏でゴロゴロやると気持ちよさそう。

水玉

アメンボが水に浮いていられるのは、足の先端に水を弾く小さい毛がびっしり生えていることと、体重が軽いことによる。 毛が水を弾くことで生じる表面張力からの反発が、体重よりも大きいから、浮いていられるのだな。

この水草と水玉の関係は、アメンボと同じで上下がひっくり返った状態。 水を弾く小さな毛と表面張力が、この水玉を作っているのだ。 しかし、なんで葉の表側にこんなに毛がびっしり生えているんだろう。 表面がべったり濡れてしまわないようにしたいのか。 濡れたままだと、気孔を開いてもガス交換できないだろうから。

紅紐木

ベニヒモノキ。 小学校の運動会やバブルの頃のお姉さんに見たような、赤いけばけばした紐のような花。 近寄ってよく見ても、びっしりと赤い毛が生えているばかりなのだが、これが実は小さな花の集まりななんだそうだ。

靫葛

ウツボカズラ。 袋の中に溜まっているのは、内部から染み出した消化液だと思っていたのだが、実はちょっと違うらしい。 雨水なんかが入り込んで増えすぎると壁から吸収し、減りすぎると根から吸い上げた水を染み出して、だいたい同じぐらいの水位を保つ。 で、ここに落ちてきた昆虫の消化吸収は、水にすんでいるバクテリアとの共同作業なんだそうだ。 しかも、消化酵素を出すのは若い袋だけ。 古い袋になると、バクテリアが分解したのを横取りして吸収するだけだなんだとか。

蝿取草

食虫植物の定番、ハエトリソウ。 一度閉じると枯れてしまうと聞いた記憶があるのだが、正確には 「十分大きな獲物なら、一度捕らえて吸収すると、その葉は枯れてしまう」 なんだそうだ。 小さい獲物だったり、或いは空振りだったりすると、また開くとのこと。 それでもやはり葉の開閉は消耗が激しいようで、3回ぐらい空振りすると枯れてしまうらしい。

蝿取草も、御辞儀草とほぼ同じ仕組みで、葉を開閉している。 違うのは、葉を閉じる動きのトリガー。 蝿取草の場合は、取り逃がしを防ぐために、接触の2回目を感知して葉を閉じる。 ダブルクリックである。

「触らないでください」 と注意書きがしてあった蝿取草だが、どの葉も空のままで閉じていたのは、やっぱり触られたからだろう。 蝿取草。 蝿と理想。

寄生獣

蝿取草や靫葛に並べて置いてあったから、これもたぶん食虫植物なんだろう。 毛氈苔の仲間だと思うが、よく判らない。 ちょっと気持ち悪いんだけど、なんだか一生懸命やってる雰囲気がちょっと可愛くもある。 ほんのちょっと。

蘭の1

アップだと、ちょっぴりエロい蘭の花。 五七五。

蘭の2

蘭の花ってのは、手を掛けないと綺麗に咲かないのだが、咲いた花はいかにも咲き誇るって感じになるのだな。 親の金と権威で威張っているお嬢様みたいな。 嫌いじゃないけどね。 もちろん、可憐で清楚なのも好き。 って、いったい何の話をしてるんだか。

地上で咲いた海の花

名前は知らないが、これも花。 前々から、花ってのは水中のあまり動きまわらない動物に似ていると思っていたが、南国のものは特にそうだな。