2005 01 30

電話男

高幡不動駅下りホーム中央辺りにある公衆電話にいた男。 電話帳を広げて顔を埋めるようにしながらも電話番号を調べてる訳ではなく、小銭を取り出すも数えるだけで、金を入れずに取った受話器にただ 「うーあーおー」 と呻く。 暫く何だか判らないことを話して(?)受話器を置くと、今度はもう一つある公衆電話で同じことを繰り返す。 そこが終わると、辺りを窺うように見回しながら階段を下りていった。 たぶん他のホームの公衆電話に行くのだ。

昨日の2時ぐらい、電車の待ち合わせをしているときに見た。 先週の土曜日も、やっぱり同じぐらいの時間に、同じことをしているそいつを見た。 たった2回のことだが、それだけでもう決め付ける。 こいつは毎週ここにいるのだ。

電話男に気を取られて、電車が動き出すまで気付かなかったのだが、目の前に座っているジャージ姿の女の子の持っているバッグに寄せ書きがしてあった。 その寄せ書きの中の一つ。

面識はないケド
四中の後輩として
絶対に忘れません

面識がない人のことを覚えているものだろうか? 余程のことがない限り、すぐに忘れてしまうだろう。 「絶対に忘れません」 と言われた本人でさえ、そう思うだろう。 なのに、わざわざ 「面識はないケド」 と書くのは、受け取った側が 「ひょっとして地味な嫌がらせ?」 なんて口にし難い薄っすらした疑惑を持つことを狙っているのだな。 或いは、実は面識があるのに 「面識はないケド」 なんて書く、もっと露骨なパターン。

なんて、無理矢理嫌な方向に想像するのは、きっと風邪を引いているせいだ。 頭が痛い。 鼻が詰まって苛々する。