2005 09 22

別れた理由

新宿駅で京王線に乗り換えるときは、遅い時間でなければ1本待つ。 ゆっくり座って帰るために。 だけど、立ってでもいいから早く帰りたいって人も多いようで、もう乗れないだろうと見えるところに、背中からぐいっと乗り込む人は後を絶たないのだった。 中には、閉まりかけたドアにまず鞄を挟んで、一旦開いたところで強引に乗り込む人なんかも。

昨日も、いつものように次の電車を待ちながら、ドア付近の混雑振りを眺めていた。 と、ワンピースにサンダルの女の人がきて、背中を向けて乗り込もうとして、よろめいて悲鳴。 不幸なことに、その弾みでサンダル(ミュール?)が脱げて、線路に落ちてしまった。 女の人は、もちろんそのまま帰るわけにもいかず、片足裸足で駅員を呼びに行った。

当然、ドアのすぐ前に立っていた人は、隙間から下を覗き込んだりする。 もちろん俺も。 それで、覗き込んだ同士で目が合ったりするのだが、そのときの視線というか表情というかが、お互いに 「はぁ」 とか 「とほほ」 とかいった感じで、何だか妙な連帯感を感じたりするのだな。 それがおばちゃんだと、 「あらあら、落としちゃったのね。 大変ねぇ」 なんて口に出したりして判りやすいが、視線を合わせたがらない若い人であっても、視線が合ったときの雰囲気はそうなんだよな。 だからどうってことも無いんだけど。

そうそう、昨日は、ドア(戸袋っていうの?)に指を挟まれた老人も見たな。 あれだけ車内放送でくどくど危険を注意しているのに。 いや、あまりにもくどいもんで、もう誰も聞いてないのか。 あれはもう車輪がガタゴトいう音と同じマスク対象なんだろう。

しかしまあ、年寄りってのは、何でこう降り急ぐのかね。 次の駅が近付くと、とにかくドアの前に立ちたがる。 誰かがドアの前に立っていても、少しでも隙間があればそこに入り込もうとする。 あれは何なんだろう。 もたもたしているから、後ろだと降りれないと思っているんだろうか。 先が短い人生だから、わずかな時間でも惜しいのだろうか。

電車の中、隣にOLさんらしい二人が座っていて、混雑した車内だというのに、元気に話していた。 というか、片方の彼氏自慢をもう片方が延々聞かされていた。 自慢する彼女の曰く、

私がこれまで付き合ってきた人と別れた理由は、寂しいから。 付き合ってるうちになんか寂しくなっちゃって、それでガーって言っちゃうの。 向こうだって、仕事とかで疲れてるときにそんな風に言われたら、反発するじゃない。 それで、お互いに言い合って、私も悪いかなって思うけど、自分から絶対謝れないし。 だけど、今の彼氏は、そこで言い返さないの。 「まあそーゆーのもあるよね」 って、まず受け止めてくれるのね。 そんな風に言われると、私も言い過ぎたかなって、素直に謝れるし。

だそうだ。 何をくだらないこと言ってんだと思って聞いていたのだが、そう思うようでは、女の人との仕事以外の会話は成り立ち難いんだろうとも思う。 知人が言うには、 女が求めているのは同意 だそうで、ああいった心理は女性一般に通じるものなのかもしれない。 もちろんそれだけじゃないんだろうけど、大きな要素でもあるんだろう。 「まあそーゆーのもあるよね」 なんて、たぶん言ってないよなぁ、俺。 ま、いいんだけど。