2006 11 28

蛙の歌

パスポートが先月で失効していたので、再発行の手続きに、久しぶりに立川に行った。 その帰り。 会社に戻る電車でのこと。

途中駅で、一見して障碍者と判る蛙のような顔をした女の人が乗ってきた。 彼女、ぐつぐつと喉を鳴らし(?)ながら辺りを見回した後、ぺたりとドアの窓に貼り付き、 「げええええ」 と鳴いた。 以後はその繰り返し。

ぐつぐつ…ぐつぐつ…げええええ

ぐつぐつ…ぐつぐつ…げええええ

じろじろ見ちゃ悪いと思うもつい視線が行ってしまうのは、多分怖いもの見たさ。 他の人はどうなんだろう? と、周囲を観察すると、反応は大きく2種類に分かれるのだな。 何度もちらちら見る人と、一度見て以降は頑なにそちらを向かない人と。 ちらちら見る人は、多分俺と同じ、好奇心と怖いもの見たさ。 見ない人はどうなんだろう。 倫理感なのか、恐怖心なのか、恐怖心の言い訳に倫理を持ち出しているのか。

ああいった人たちを怖いとか気持ち悪いとか感じるのは仕方ない。 異常に対する警戒心や恐怖心は本能的なもので、それを感じ取れるのはむしろ良いことかもしれない。 だが、文化的な社会においては、その感覚を公に口にするのは許されない。 というのが理屈で考えた線引きなのだが、俺の中の実際は、怖いとか気持ち悪いとか感じること自体に、ちょっとした罪悪感がついてくるんだよな。 で、そんな風な罪悪感を持ってしまうことに反発したりするんだよな。 なんか、我ながら微妙。 ま、だからどうって事も無いんだけど。