2007 06 04

テレビばかり見ていると

「テレビの長時間視聴は、3歳児の社交能力に悪影響」 と題した記事が、読売新聞に載っていた。

調査者
加納亜紀(調査時:兵庫教育大/現在:園田学園女子大助手)
調査対象
岡山市と岡山県倉敷市で2001年8〜9月に生まれた3歳6か月(調査時)の全幼児2035人。
調査方法
05年2〜4月にかけて保護者にアンケート。
回答数(率)
1180人(58%)
調査結果
2時間未満 2〜4時間 4時間以上
譲り合いができる 96.3% ? 80.2%
順番を待つことができる 95.1% 96.3% 76.5%
進んで他人の世話を焼く 84.0% 86.4% 60.5%
考察
このような傾向が現れるのは、長時間視聴が他人とかかわり合う機会を減らしてしまうため。

問題はテレビなのか。 そうじゃなくて、テレビやビデオを見せることで、親(自分以外の誰か)とのコミュニケーションの時間が減ることだろう。 「長時間視聴が他人とかかわり合う機会を減らしてしまうため」 というコメントから、調査者もそう考えていることが判る。 題材としてテレビを選んだのは、それが最も簡単にデータがとれるから、という程度の理由だったんだろうと思う。 と言うか、テレビ以外に選びようが無いよな。 幼児じゃ携帯も使えないし。

「テレビの長時間視聴は…」 と、テレビのみが悪者であるかのような見出しは、この記事が新聞に載るものだから。 これがもしテレビで紹介されたなら、 「テレビをある程度見せることは、3歳児の社交能力に好影響を与える」 となっただろう。 実際、 「順番を待つことができる」 と 「進んで他人の世話を焼く」 では、2時間未満よりも2〜4時間の方が高い値が出ているのだから。

もっとも、この調査自体にどれほどの信頼が置けるかとなると、これはこれで疑問なんだけどね。 自分の子供が 「順番を待つことができる」 とか 「進んで他人の世話を焼く」 とか、幼児の親が客観的に答えられるとは思えないのだが。 テレビの視聴時間は親に訊くしかないだろうが、子供の行動は保育園で訊けよ。 って、そう言えば、テレビを見る時間の差によるグルーピングって、保育園に通っているかどうかというグルーピングと一致したりしないよな? あと、見せる番組の内容は関係ないのか?