2008 01 10

胸毛は駄目ですか

蘇民祭。 それは、岩手県奥州市の黒石寺で行われる、1000年の歴史を持つ伝統行事。 簡単に言えば裸祭り。 いろんな地方に残る裸祭りと何が違うのか、俺は知らない。 昔は本当に裸でやっていたのだが、最近では褌姿なんだそうだ。

この蘇民際のポスターを、市がJR駅構内に掲示しようとして、JRから拒否された。 ポスターは、髭と胸毛のいかにもマッチョなおっさんをメインに、褌姿の男衆をバックに、構成されたもの。

JR東日本は、掲載拒否の理由を 「男性の裸に不快感を覚える客が多い」 からとしている。 「単純に裸がダメというわけではないが、胸毛などに特に女性が不快に感じる図柄で、見たくないものを見せるのはセクハラ」 なんだそうだ。 これまで掲載していたものを今年拒否するについては、 「セクハラが問題になる中、公共の場でのポスター掲示の基準は厳しくなっている」 とのこと。

市の側は、ポスターの一部を修正するなど試みたものの、結局駅構内への掲載を断念。 駅で張れない分は市内や首都圏で張ることにしたという。

そのポスターを、俺も見てみた。 デザインは、俺の個人的な感想としては、お世辞にも良いとは言えない感じ。 このポスターが適切に祭りの雰囲気を表現していのなら、そんな祭りは見に行かない。 ま、ポスターがどうであれ、裸祭りに行こうとは思わないのだが。

でも、駄目なポスターだとは思うけど、JR東日本が挙げるセクハラって理由が正しいとも思えないんだよね。 というか、そもそも俺には、女性のヌードポスターの掲載が女性に対するセクハラになるってのから、よく判らない。 最近では、ヌードどころか水着も駄目って勢い。 女性のヌードや水着のポスターを女性が不快と感じるのは何故だろう。

いろいろ考えてみるに、大きくはこの二つに収束するのではないかと思うのだが、どうだろう。 どうだろうって言うには、分け方が大雑把過ぎる気もするが。

仮にそうだとして、だからヌードや水着がセクハラだとして、だ。 蘇民際のポスターが、 「胸毛などの身体的な特徴に対して一部の女性が露骨に嫌悪感を示すことが、男性に対するセクハラに当たる」 とか 「筋肉など古典的な男性性を強調することで『男とはかくあるべし』という圧力を与える、それが男性に対するセクハラに当たる」 とかであるなら、セクハラってのも判らないでもない。

でも、そうじゃないんだよね。 胸毛は女性にとって不快なものであると決めつけ、それを見せるのはセクハラだから駄目なのだ。 どこまでいっても女性ばかりで、女性のためなら、一部の男性は存在すらセクハラ。 この勢いで行けば、数年後にはデブやハゲの男性もセクハラ認定されるんじゃないだろうか。

ま、なんだかんだ言ったところで、こうして文句を言うのは俺に胸毛があるからなんだけどね。 それに、件のポスターをセクハラとするのも、女性からセクハラと言われるのを過剰に恐れている男性の判断って気もするし。 実際の女性はあのポスターを見てどう感じるのか、その平均値と分散が知りたいな。 知ったからどうってものでもないんだけどさ。