2008 04 26

聖火の成果

北京オリンピックの聖火リレーが、長野で行われた。

妨害と思われる行動が、テレビに映っている範囲で2回。 タレントの萩本欽一のときに、男の飛び出しとペットボトルらしきものの投げ込み。 卓球の福原愛のときに、男の飛び出し。 飛び出しは、どちらも聖火にたどり着くことなく警備に取り押さえられていた。

警備は、これまでの各国よりは若干控えめの体制ではあったが、よく機能していたと思う。 中国から派遣された聖火警備隊(日本では警備行動を認められなかったため fire attendant という肩書き)は、二人ずつ交代で聖火に伴走していた。

コースの沿道に最も多かったのは、テレビで見た範囲では中国人。 大量の中国国旗が沿道を赤く埋める中にちらほら見えた日の丸も、中国人が持っているようだった。 大きな中国国旗を持った一団が、歩道を、聖火を追いかけて走っていた。

チベットの旗を持った、チベット支援勢力もいた。 中国側の2割程度の印象だが、実際にどうなのかは判らない。 チベット支援勢力では、日本人が一番多いように見えた。 って、そりゃそうか。 「チベットを応援しよう」 とのネットの呼びかけに応えた、にわかチベット支援者もいたのかもしれない。

聖火リレーは、無事に聖火をゴールに運ぶという観点では、概ね成功だった。 しかし、わざわざ 「聖」 の字を付けてしまう日本人の感性では、護送が上手くいったからこそ、その本来の意義での失敗を印象付けるものになったのではないかと思う。

ま、それはそれとして。

「聖火リレーなんてくだらない。 つまらない。 止めればいいのに」 と思っている俺にとって、今回は初めて楽しく見られる聖火リレーだった。 いつ反対勢力が襲ってくるか。 聖火が消されるか。 結果としては、全く期待外れの駄目駄目だったのだが。

何が駄目って、反対派の行動の拙さだ。 機動隊が取り囲んでいるところに一般人が一人で突っ込んで、どうして突破できると思うんだろうか。 或いは突破できないことを織り込んだ行動なんだろうか。 単にチベット問題をアピールしたいだけで、聖火を消したいわけじゃない。 だから、警備につかまってカメラの注目を集めれば十分だと。 うっかり突破してしまったら、むしろ自分が困るのだと。 実際にそうだとするなら、その中途半端さが駄目だ。 そんなことだから、道路に踏み出した直後に、殆ど何もアピールできないままで捕まってしまうのだ。

やるからには、やっぱり聖火を消さないと駄目だ。 そのために一番確実なのは、中国人に偽装することだろう。 中国の国旗を持って、赤いシャツを着て、100人ぐらいでコースに待機する。 で、聖火が来たところで一斉に襲撃。 いくら警備が厳重でも、100人もいれば、聖火に辿り着く奴がいるだろう。 見てる分には、こーゆーのが楽しい。

もっと地味なところで、当選した聖火ランナーに頼むとか。 いや、これはむしろ真っ先に検討すべきなのか。 予めユニフォームの下に 「チベットに自由を!」 のシャツを着ておいて、走っているときにユニフォームを破り捨てて見せてくださいと。 外向きに厳重な警備も、自分たちが警備している対象が敵だとは思わないだろうから。 あ、確かフランスでは、そんなメッセージのバッジを着けて走ったのがいたんだっけ。 まあ、フランスではパリ市長が反対派だったりするんだけど。

この路線で一番いいのは、 聖火ランナーとしてダライ・ラマが走る ことかもしれないな。 アンカー、ダライ・ラマ。 その姿を見た沿道の中国人が、一瞬凍りつき、直後に沸騰。 聖火警備隊を先頭に、一斉に襲い掛かる。 トーチを奪われ、赤い人の海に沈むダライ・ラマ。 剥ぎ取られたオレンジの法衣が、まるで生贄のように、聖火台に乗せられて焼かれる。 その光景にますます興奮し、 「加油!」 と叫びながら本当に油を撒き散らす中国人の群集。

いや、まあ、一番駄目なのは、そんな期待をしている俺なんだけどさ。 真剣にチベットを憂う人からすれば、俺の野次馬気分の期待なんて腹立たしいばかりだよな。 すまん。

鰐口草

花が鰐の口みたいだから鰐口草。 鰐ってのは、今で言う鮫のことだと思う。