2009 01 10

蜘蛛の糸

「その金があれば、世界の飢餓を救うことができた」

先日、聴くともなく聴いていたテレビから、そんな言葉が聞こえてきた。 半分聞き流していたのではっきりしないのだが、金融危機の救済策として使われる金についてのコメントだったと思う。 40兆円ぐらいだったかな。

で、思うのだが、その金で世界の飢餓を救うことが本当にできるのだろうか。

仮に40兆円として、それを全て注ぎ込んで、当面の飢餓を救ったとしよう。 こうした救済を必要とする地域の人たちは、基本的に多産だ。 救われた端から増えるだろう。 2倍に、3倍に。 そしてすぐに、もっと大規模の飢餓になる。 今度は40兆円では救えない。 80兆円か、120兆円か。 必要な額を全て注ぎ込んで、この飢餓を救ったとしよう。 救われた人たちはもっと増える。 そして始まる、更に大規模の飢餓。

そんなストーリーは悲観的に過ぎるのかもしれないが、実際問題、今のペースで人が増えたって食料が追いつかなくなるのは確か。 今、飢えることもなく生活している俺としては、40兆円で救える程度の飢餓を維持しておいて欲しいと思う。 そうした人たちから搾取を続けてでも、今の生活を続けたいと思う。 もちろん、飢餓が救えるなら救った方がいいと思うが、自分を犠牲にしてまで救いたくはない。 「とりあえず今の飢餓を救う。 そして、次の飢餓までの間に問題を解決、とまでは行かなくても、更に未来に先送りできる程度に技術が進歩することに賭ける」 なんて志を評価しないでもないが、借金を返すために馬券を買うような行為に付き合う気はない。 垂らすなら蜘蛛の糸で。

なんて言ってるこちら日本も、正社員という蜘蛛の糸を巡って争う状態だったりするのだが。