2009 07 18

きまぐれオレンジロード

新聞の編集手帳というコラムに載っていた詩が、何と言うか、良かった。

思い出に
殺されながら
生きてゆく
君といた日は
輝くナイフだ

コラム自体は、この詩を引き合いに犯罪被害者について語っているのだが、そんなのはどうでもいい。 俳句や短歌を含めて詩に心動かされることなんて滅多に無いのだが、これは良かった。

輝くナイフって訳ではないが、その後、通勤電車の中でふと思い出したのが、遠い昔のこんな会話。

「ひかるちゃんと、まどかさんと、どっちが好き?」

「まどかさん」

「そう言うと思たわ。 強い方が好きやもんなぁ。 いっつも強いもんの目線やし」

「え、じゃあ、ひかるちゃんなのか?」

「当たり前や。 頑張ってるやん」

絶対にひかるちゃんだと主張するその人は、健気に頑張るところをその根拠にしていた。 そうした頑張りに励まされるとか。 あんまり熱く主張するので、俺はもう 「まどかさんの方が奇麗だし」 ぐらいの反論しかできなかったんだよな。

けど、まどかさんをただ強いとくくってしまうのはどうだろう。 最初に強がってしまったために、その後素直になれないってこともあるだろう。 もしそうだとしたら、ひかるちゃんのストレートな頑張りが、どれだけ羨ましく、眩しく見えたことか。 それでも、作ってしまった自分のイメージを崩せないのは、むしろ弱さの故ではないか。 って、アニメキャラの性格をそんな大袈裟に考える必要も無いのだが。

きまぐれオレンジロード。 連載当時、俺は大学生だった。 アパートの隣の部屋にいた奴が、 「俺の理想はまどかさん」 なんて言ってたんだよな。 ちょっと恥ずかしそうに。 あいつは、今頃何をしてるんだろう。 今でも理想はまどかさんなんだろうか。