2010 11 16

誰のための規則なのか

地味に熱い論争を巻き起こしている、算数の答案について。

皿が5枚あります。 1皿に林檎が3個ずつ乗っています。 林檎は全部で何個あるでしょう。

式:

答え:

この問題で、子供が、式に5×3=15と書いたら不正解となり3×5=15と訂正されたのだそうだ。 ちなみに、オリジナルの問題文は全て平仮名。 小学校の2年か3年かに出題されたものらしい。

これに対して、恐ろしい勢いでコメントが付いているのだが、その大半が正解でいいだろうってものだった。 俺もそう思う。

これを不正解とする根拠は、式に意味があり、記述の順序が定められていること。 学習指導要領には、

乗法は、一つ分の大きさが決まっているときに、その幾つ分かに当たる大きさを求める場合に用いられる。

と規定され、これを受けて式の記述の順序も、

かけ算の式は 「1つ分の数」 × 「いくつ分」 の順に書く

と定められている。

しかし数学においては、乗算は交換法則が成り立ち、順番に拘る意味は無い。 順番を気にする必要があるのは、算数のごく初期、交換法則を習っていないわずかな期間だけなのだ。 しかもこの順番は、教える都合だけで作られた規則であって、数学において必要だから作られた規則ではない。

小学校の授業進度がどんなものかはもうすっかり忘れたが、少なくとも4年生になれば、この式でも正解になるはずだ。 だったら、今このタイミングでも正解でいいではないか。 どうしても式の意味を強調したいなら、正解とした上で注意を書き加えておけばいいだろう。 繰り返しになるが、数学としてなら間違っていないのだ。

もう一つ大事なのは、こうした積み重ねが算数嫌いを作り出すことだ。 教える側の都合で作った規則のせいで、子供がその教科を嫌いになったんじゃ、本末転倒だろう。

これを不正解とした先生も、指導要領があるからしょうがなくやったならまだ救いがあるが、本気で不正解だと思ってるなら、ただの馬鹿だ。 いや、まあ、馬鹿だから小学校の先生になってるのかもしれないが。