2011 10 27

綺羅綺羅寧夢

一つ片付いたと思ったら二つ問い合わせが来るという日々。 今なら、賽の河原の子供の気持ちもわかる。

「AppStoreを見てたら、添い寝彼女なんてアプリがあったんだよ」

「添い寝… 目覚ましですか?」

「たぶんそうなんだけど、アプリの説明には 『お兄ちゃん向けアプリ』 って書いてあった」

「お兄ちゃん? 彼女じゃないんですか?」

「いや、タイトルは彼女なんだけどね」

「はあ… まあでも、その情報だけで路線はわかりました」

「それでたぶん正解。 アグネス辺りが捻じ込んできそうな絵だったよ」

「有料ですか?」

「いや、無料。 アイテムで課金するタイプ。 少女を売ってるんじゃなくて、少女のための玩具を売ってるんだね」

「間違ってますよ、その喩え。 玩具のおまけに少女が無料で付いてる方が質悪いですから。 で、それ、入れたんですか?」

「まさか。 そうそう、まさかと言えば 『添い寝』 で検索すると 『添い寝彼氏』 もヒットするんだよ。 しかも彼女よりもたくさん」

「うわ、ほんとにまさかですね」

「腐女子ってやつは… ところで名前はいいよね、添い寝彼女って」

「そうですか?」

「だって、ほら、一発で機能が想像できるじゃん。 どんなオプションが付いてるかとかもさ」

「ああ、なるほど、確かに」

「何だっけ… キラキラネーム? あれよりは数段マシだろ」

「宇宙と書いてコスモとか、ありましたよね。 しかもこれがまだマシな方っていう」

「親が馬鹿だと子供も不幸だよな。 あれ? でも親が半端に賢かったりすると、子供にサインコサインとかつけるのかな?」

「さすがにそれは… 字の当て様が無いんじゃないですか?」

「宇宙でコスモが通るんだから、普通に正弦余弦でいいだろ」

「あ、そうか。 って、普通じゃないんですけどね」

「日本を離れれば、南ヨーロッパ辺りにタンジェントって女の子は普通にいそうだよね」

「いますかね… あー… いるかも」

「タンジェントちゃん… 可愛い雰囲気はあるけど、名前でもう貧乳決定か」

「そうなんですか?」

「だってほら、tan π = 0 じゃん」

「うわ、微妙に巧いのがむかつきますね。 だいたい私は数式をそんな目で見たことは無いですけどね」

「これからじっくり見て行けばいいよ」

それにしても、単純な機能に紙芝居レベルの画像を付けただけのアプリが横行するのはどうなんだろう。 アイディアも技術的にも、見るべきところが全くないのだが、それはアプリ開発が大衆化して裾野が広がったと喜ぶべきなんだろうか。 んで、タンジェントちゃんは本当にいるんだろうか。 やっぱり貧乳なんだろうか。

ま、それはそれで良し。

「胸が当ってるんだけど」

「当ててるんです」

なんてのもいいが、

「胸が当らないんだけど」

「これでも精一杯当ててるんです!」

という展開も嫌いじゃないからね。 これはこれで萌える。 一緒に洞窟に入って 「鍾乳洞に小乳童」 とか言って怒られてみたい。