2012 10 17

玉の輿

結婚したら精神的賠償を打ち切られたという話。 毎日新聞から。

東京電力福島第1原発事故で避難指示を受けた被災者への精神的賠償を巡り、避難生活中に結婚した複数の女性への支給を「結婚で生活基盤が整った」として東電が打ち切ったことが同社などへの取材で分かった。 文部科学省の審査会が賠償範囲を定めた中間指針にこうした規定はなく、賠償状況を監督する経済産業省資源エネルギー庁も「結婚や転勤で打ち切ることはない」と指摘、両省庁は実態把握の検討を始めた。

福島県双葉郡の計画的避難区域内の自宅から県中部の仮設住宅に避難していた30代女性と家族によると、女性は昨年10月に同県須賀川市の男性と結婚し男性宅に転居した。 同9~11月分の精神的賠償を今年2月に請求した際、姓の変更に気付いた東電の窓口担当者が打ち切りを示唆。 その後、東電本店から電話で「生活基盤が整った」ことを理由に、昨年11月以降の賠償打ち切りを通告されたという。

精神的賠償に関し、文科省の原子力損害賠償紛争審査会の中間指針(昨年8月)は、避難指示区域から長期避難を余儀なくされた人を対象に、原則月額10万円と規定。 「帰宅が可能になる時点」まで支払うが、事故の収束が見えないことなどから「具体的に示すことは困難」とし、結婚には言及していない。

女性は「結婚で精神的苦痛はなくならない」として原子力損害賠償紛争解決センターに申し立て、東電は今年9月下旬、昨年12月~今年5月の半年分計60万円を支払うと回答した。 だが、6月以降分については、女性に賠償請求に必要な書類を送っていない。

女性の母親は「賠償が欲しければ女は結婚するなということですか」と憤る。 東電広報部は取材に、結婚を理由にした複数の打ち切りを認め「個別案件は答えられない。判断基準はケース・バイ・ケース」と述べた。

東電の措置を巡り、文科省は「長期的避難の精神的苦痛は結婚でなくならない」(原子力損害賠償対策室)、エネ庁も「結婚で打ち切りはおかしい」(原子力損害対応室)と批判している。 【栗田慎一】

賠償の対象は 「自宅から離れて暮らさざるを得ない状況に追い込まれたことによる精神的苦痛」 な訳だから、この苦痛に対する単位時間辺りの金額を決めて、実際の期間を掛けたものが賠償の総額となるだろう。 その期間が確定できないけど、確定を待っていては当面の生活が成り立たないので、先行して払っているのが現状。 つまり、名目は賠償だが、実質は生活補助になっているのだな。

まあ、この名目にしても、 帰宅が可能になる と、元の家に帰ることが前提のように表現されていることも、各方面の心情を汲んだ表現をしてみただけのこと。 じゃあこの際だからと他の土地で暮らしていく決意をした人に、その後一生支払うはずもないし、その必要もないと思う。

実際、賠償の継続を要求する側も、その理由が 結婚で精神的苦痛はなくならない な訳で、これはつまり生活の基盤は整ってしまったってことなんじゃないのかね。 じゃなかったら 「結婚したけど、やっぱり貧乏で生活していけません」 とか言いそうだし。

せっかくだから、東京電力も 個別案件は答えられない なんて言ってないで、個別のケースについて賠償の対象をきっちり提示してあげればいいのに。

みたいに。 あと、それぞれのケースでの金額も。

記事のケースでは、結婚して生活基盤が整った後、求めに応じて半年も賠償金を支払っている。 賠償としてはもう十分だと思うが、その上更に要求するところに、何と言うか生活保護の不正受給と同じ匂いを感じるんだよね。 なもんで、この記事も不正受給者と東京電力のどっちが悪者かという比べ方をしているように見える。 女の母親の言う 賠償が欲しければ女は結婚するなということですか って、生活保護を受けているデブが言う 「生活保護を受けている人は焼き肉も食べるなってことですか」 と同じだろ。

まあ、そもそも毎日新聞の記事をどこまで信じるか、というところからなんだけど。 だって毎日新聞だし。

結婚相手について何の情報もないけど、もしも結婚相手の男が東京電力の社員だったら、どんな反応になるのかね。