2015 02 14

善意も涙も商売道具

冤罪事件なのだが、書き方にちょっと引っかかりを感じる記事。 毎日新聞から。

大分県日田市のコンビニエンスストアで、商品の遊技用カードの袋が破れているのを店に届けた小学生6人を経営者が容疑者扱いしていた。 警察の捜査で別人物が破っていたと判明し、店側が謝罪したが、父母によるとうち1人は一時学校を休んだといい、善意を逆にとられたショックは癒えていないという。

児童の父母によると、3~5年生の6人が7日朝、この店で買い物をした際、2袋が破られて床に落ち、一部のカードが抜き取られているのを見つけ、店員に届けた。 翌8日、コンビニの経営者が児童と保護者を呼び出し 「破って中のカードを盗んだだろう」 とただした。 児童は 「何もしていない」 と否定したが、店側は警察に通報。 児童6人は県警日田署で個別に事情を聴かれた。

その後、防犯ビデオの分析で6人は無関係と判明。 事情を知った経営者夫婦や店長ら5人が謝罪したが、泣きじゃくる児童もいたという。

毎日新聞の取材に対し、コンビニチェーン本部(東京)広報センターは 「経営者から『口頭で謝罪した』との報告があったが、更に事実関係を確認し、きちんと対応する」 とコメントしている。

防犯ビデオの映像で問題の子供が犯人ではないと判ったとあるが、それは子供たちが来たときにはもうカードが抜き取られていた証拠が写っていただけなのか、それとも犯人の犯行現場が写っていたのだろうか。

記事には、実際にカードを盗んだ犯人が誰だったのかが書かれていない。 防犯カメラに犯人が写っていたかどうかも書かれていない。 記事についたコメントでは、コンビニ側が随分と非難されているが、これがもし犯人が同じ小学校の別の生徒だったら、ここまで非難されただろうか。

非難されたかもしれないな。 万引きした子供を通報したら閉店に追い込まれた本屋もあったし、間違いじゃなくても、子供のしたことで警察に通報なんてしたら非難されるのが、今の世の中なのだ。

しかしコンビニの側も、これが開店以来初めての事件なら、相手が小学生だし、注意に留めて警察を呼ぶなんてことはしなかっただろう。 でも実際は、子供達が集団で来た後にかなりの頻度で商品が破られていて、被害額も結構な金額になっていて、今回の事件は通報への最後の一押しだったんじゃないか。

ところで、間違われた子供が可哀想なのは確かだけど、店に届けたのを善意と決めつけるのもどうか。 例えば、

この子らは誰が万引きをしたのかを知っていた。 なぜなら、虐めの一環として、特定の子に万引きを強要していたから。

ただ万引きをさせるだけなのも飽きてきたので、ここらで捕まらせてみようとした。 もちろん、強要されたことは絶対に言わないように脅しをかけて。

で、万引きさせた後で店に入って、万引きがあったと届け出たら…

みたいな、善意の欠片も無い行動の結果だったかもしれないじゃないか。 まあ、もちろんこっちの可能性の方がずっと低いんだけどさ。

事件に絡んだ女に 「美人」 をつけるのと同じで、この 「善意」 も記事をセンセーショナルにするための飾りなんだろうけど、それがあることでコンビニの側が余計に非難されることを、記事を書く側はどう考えているのか。 ついでに、訂正記事はとても小さいのが通例の新聞社として、今回のような間違いにどう対処するのが正解だと考えるのかも教えて欲しいものだな。