2015 05 10

俺の名前を言ってみろ

散歩の途中で目にした花や虫の名前を、帰りに図書館に寄って調べることがあるのだが、高幡不動の図書館は図鑑が貧弱であまり役に立たないことも多い。 雑誌や文庫本を充実させるのもいいけど、こっちももう少し何とかして欲しいものだな。 紙の本ではなく電子書籍だったりすると、検索が便利で良いのだが、さすがにここまでくると 「もう少し」 ってレベルじゃないか。

あぁ、そう言えば、何年か前に自分で図鑑を作ってみようとしてたんだった。 結構な数の花の写真があるので、前に見たけど名前が思い出せないときに簡単に調べられるようにと思ったんだよな。 急に仕事が忙しくなったので放置していたのだが、ちゃんと作ってみるかな。

姫檜扇

姫檜扇(ヒメヒオウギ)

アフリカ南端が原産地で、日本には明治の頃に観賞用として持ち込まれたのだそうだ。 アフリカと聞くと凄く暑いところって気がするけど、南端の南アフリカは、日本とそう変わらないらしい。

菊吸髪切虫

菊吸髪切虫(キクスイカミキリ)

日の丸を背負いながら菊に害を為すという似非右翼。 菊の愛好家からは本当に目の敵にされているようで、キクスイカミキリで検索した結果のほとんどが search and destroy! だった。

ところで、檜扇に似ているがちょっと小さいので姫檜扇とか、菊の茎に潜り込んで汁を吸うから菊吸髪切虫とか、特徴がそのまま名前なのは、成長した姿やライフサイクルを見て名前を決めるから。

これが人の名前だと、名前を考えるのは生まれる前後なので、当然ながら成長した時にどんな特徴や特性を持つのかはほぼ不明。 子供がたくさんいた時代なら、長男次男といった関係性を名前にするパターンも多かったが、一人っ子がほとんどの今では、こうなって欲しいという願望で名前をつけるのだろう。 その結果、優しくも美しくもない優美が出来上がったり、幸子という名が皮肉になったりするのだが、まあしょうがないよな。

人の苗字は、植物や動物の種の名前をつける方に近いんじゃないかと思う。 立地や系列や職業や地名から。 立地は、田中や山口が典型的な例。 系列は、藤原とその他 「藤」 がつくものが有名どころ。 職業は、屋がつくのはほぼそう。 犬飼もたぶん職業だな。 渡邊は地名らしい。

こんな無難なものならいいのだが、中には、何故そんな苗字にしてしまったのかがさっぱり判らないものもある。 先日見た、そんな苗字の一覧。

阿呆あぼ
悪虫あくむし
汗井あせい
穴虫あなむし
虻川あぶかわ
荒金あらがね
いかり
猪尻いじり
喜捨いすて
狗巻いぬまき
豚座いのこざ
忌部いんべ
大蜘蛛おおぐも
大尻おおじり
大獄おおだけ
男女島おめじま
親爺おやじ
蚊爪かづめ
金持かねもち
禿かむろ
亀頭かめず
枯芝かれしば
官能かんの
奇験きけん
棄原きはら
鬼屋敷きやしき
金玉きんぎょく
愚川ぐかわ
苦水くみず
邪答院けとういん
小悪こあく
降魔ごうま
腰砕こしくだけ
ざい
斎場さいば
嵯蛾さが
蛇穴さらぎ
醜茶しこちゃ
尻毛しっけ
下夷しもえびす
蛇好じゃこう
蛇沼じゃぬま
蛇喰じゃばみ
出頭しゅっとう
じょう
上恐じょうきょう
須股すまた
崩山ずりやま
瀬屑せくず
窃野せつの
駄斉ださい
憑子たのし
駄馬だば
乳久保ちちくぼ
血矢ちや
痴山ちやま
聾田つんぼだ
木賊とくさ
泥舟どろぶね
南蛇井なんじゃい
肉倉にくくら
濁沼にごりぬま
野晒のざらし
倍償ばいしょう
蝿庭はえにわ
墓下はかのした
墓前はかまえ
枷場はさば
鼻毛はなげ
孕石はらみいし
伴邪ばんじゃ
吐田はんだ
非々ひび
肥満ひまん
蛭田ひるた
蛭沼ひるぬま
不具ふく
福負ふくおい
浮気ふけ
不虚作ふこさく
妖崎ふざき
毒島ぶすじま
二股ふたまた
腐頭ふとう
へき
辺銀ぺんぎん
骨田ほねた
馬鹿ましか
幡丸まんまる
御手洗みたらい
百足むかで
東偽やおみ
山姥やまうば
山奇やまき
闇雲やみくも
指吸ゆびすい
用害ようがい
吉臭よしさわ
霊園れいえん

当時は何の問題も無かったのが、時代が変わって微妙になってきたもの。 その地域では何の問題も無かったが、他の地域から見ると微妙なもの。 逆に、選択の自由無く押し付けられた職業で、当時は忌み嫌われていたのが、今では意味が薄れて微妙程度になったもの。 何だか判らないが、微妙どころじゃないもの。 むしろちょっとかっこいいもの。 まあいろいろあるのだが、こんな(なんて言ってしまって申し訳無いが)看板を掲げて生きていくのは、きっと苦労が多いんだろうな。 特に子供の頃は。

あと、墓下さんや墓前さんは、子供の頃に霊園さんを見てもなんとも思わないだろうが、大人になってその存在を知ると、ちょっとモヤモヤするんじゃないかと思う。

これをそのまま名前として役所に出したら却下されそうってのがまた、ねえ。