2015 06 17

大英博物館

例年、8月は連休で稼働日が少ないので他の月で稼いでおくのだが、今月は予想外に忙しくなって否応無しに稼がされてしまい、目標を少し上回る状態になってしまった。 ここに来てちょっと落ち着いてきたので、時間調整のために今日は休暇。 で、東京都美術館でやっている 大英博物館展 に行ってきた。

平日なので人も少ないだろうと期待していたのだが、これが全く期待外れ。 今日はシルバーデイで65歳以上は入場無料なんだそうだ。 館内は老人で溢れかえっていた。 あぁ…

展示は、正直ちょっと物足りない。 大雑把な時代区分でテーマを設定し、そのテーマ毎に十数点が展示されているのだが、地域や時代の幅広さに対して十数点は少な過ぎだろう。 まあ、この辺りは大人の事情があるんだろうけどさ。

とまあ構成は不満だが、展示品そのものは結構良い感じ。 幾つか印象に残った物を挙げておこう。

古代エジプトの棺

頭頂部に糞転がしと転がされる糞が描かれているのだが、古代エジプト的には、頭の上に糞って気にならないのだろうか。 むしろありがたい肥料だったりするのかな。

100万年以上前の石斧などの石器

握って使うのなら、刃の部分を左右対称にする必要はない。 むしろ使いにくい。 それでも左右対称にしてしまうのが芸術性の萌芽。

そんな解説に、ああなるほどと思ったのだった。

アラビアの手形奉納品

少し歪んだ指。 手の甲にびっしりと書かれた何だか判らない文字。 持っているとスタンド能力に目覚めそう。

マヤ文明の儀式用ベルト

重さ40kgだそうで、うっかり装着したら腰を痛めそうだが、それでも着けてみたい格好良さ。 変身できそう。

へプライ語が書かれたアストロラーベ

場所や方角だけでなく、今日の運勢まで分かるという優れもの。 使い方はさっぱり判らないが、一つ欲しい。

だいだい時代に沿った形で展示されているのだが、たまに逆行することもあった。 その時は、なぜ素直に時代の順に並べないのだろうと思ったのだが、今考えるに、あれはヨーロッパ目線で発見・接触した順なのかもしれないな。

遠く離れた地で独自に発展したはずのマヤとジャカルタが、デフォルメの方向が似ているのもちょっと面白かった。 気候が似ると、そこに暮らす人々の文化も似た物になるのだろうか。 いや、気候というよりは生態系か。 ジャングルの中で目立ったり恐れられていたりする動物が大体似たような物だから、その特徴を力の象徴として取り入れた結果も大体似た物になるのかもしれないなしれないな。

日本の物は少ないが、少しはある。

爺さん二人組の片方が、連れに 「なんで日本の物が無いか分かる? 当時の日本は、全然相手にされないレベルだったからだよ」 なんて言った直後に 柿右衛門の象 の展示があって、爺さん 「あー、あるんだね」 なんて独り言のように呟いていた。 すぐ横にいた俺は半笑い。

あと、終盤の現代の作品は、個人的には要らないな。 繰り返しCMで見た 銃器で作られた「母」像 も、歴史的価値はあるのかもしれないが、作品としてはどうかと思うレベルだし。

まあ、そういった物を収蔵するからこその博物館なんだけどさ。 大英博物館は博物館であって美術館ではないんだよな。

見終わって外に出た時が、ちょうど雨上がりだったらしい。 これから美術館に入るのだろうすれ違う人が、傘を畳みながら 「さっきの雨、凄かったね」 なんて言っていた。

ダイアナの1

国立西洋美術館の向かい、東京文化会館のすぐ横の窪地(水路?)に設置されているダイアナの像。 何度もすぐ側を歩いているのだが、迂闊なことに、今日まで存在に気付かなかった。

ダイアナの2

後ろ姿がちょっと良い感じだったので、わざわざ前に回ってみたのだが。 前から見て判ったのは、この像は後ろから見る物だということ。 前から見ると、ちょっと気持ち悪い。

ダイアナはローマ神話の月の女神。 月は常に片面だけを見せているのだが、この像も何かその辺りを意識したってことはないよな。